年齢が加算してもいけばなは友達、みなさんからパワーをいただいています。
今回は、前回の木下豊幸さんから、「何事にも前向きに臨む姿勢に感心させられる方」と、ご紹介いただいた津嶋きぬ子さん。
スキー、テニス、書と多彩な趣味を楽しみながら、
いけばなは生活の一部と東奔西走される忙しさ。
趣味での思い出深いお話しから、今後予定されているいけばなのボランティア活動などの様子を伺いました。
青森でいけばなを研究しているグループがあって、そのグループで木下さんと知り合いになりました。また、「つる桔梗会」でもお会いした時にはお互いに、「あら、貴方も参加されているの」と目で会話していました。
木下さんは、女性にありがちな無駄口のない人です。海を越えて花を学びにいらしてることをお聞きし、本当に敬服しています。月に1回はお会いしていろんなお話をしていますが、年に1回の「つる桔梗会」でお会いするのも大変楽しみにしています。

名峰マッタ—ホルン(4,478m)を背景にスキー仲間とご満悦。スキーの全身運動が体力アップとなって花展に生かされる。
私の趣味はスキーとテニス、そして書です。営林局に勤めていましたので、冬山の視察にはスキーで出かけるために適度に滑れることは必須です。
子どもが幼い頃はスキー場で寒い思いをして待っているだけでしたが、あまり手がかからなくなった頃に思い切って始めました。練習では転んでお尻がアザだらけになり大笑いしました。
スキーで印象深い思い出はやはり海外で、スイスに宿泊してイタリアまでスキーで行ったことです。天候が悪くなるとイタリアから戻れなくなるので、急いで往復しました。水分補給のために持参した水はカチカチに凍っていました。また青森の岩木山では雪上車で30分登り、八合目より滑降したことも思い出深いです。
テニスは、職場のコートで昼休みや勤務を終えた時間に練習していました。退職後は職場の仲間がいるクラブに入り、奈良県まで女子だけの試合に出かけたこともあります。他県の人との交流は楽しく、見聞を広めることにもなります。
書は私の幼い頃、半紙などが手に入らない時代に父親が新聞紙に何回も墨で書いているのを見ていて自然と習うようになりました。
スキーとテニスは「動」、書は「静」です。動は、花展などで必要とされる体力づくりに役立っています。そして静は、白い紙に黒い字を書くときに雑念を払って向かう姿勢がいけばなにも通じます。
主人の伯母がいけばなの先生をしていて、その関係で習い始めました。仕事勤めをしながら、小さい子どもを連れてお稽古に通いました。
子どもを保育所にあずけることもありましたが、日曜日の研究会のときなどは保育所が休みで会場まで連れていきました。会場の机の下から「ママ、この枝がいいよ」と言われ、苦笑して集中力がそがれたのも懐かしい思い出です。
最近では泉谷先生がお亡くなりになられた一昨年、その年の第1号として技術優秀賞をいただく栄誉にあずかりました。
いま、子どもたちも成長して独立し、いけばなのことで家を留守にする機会も多くなりましたが、主人は何ひとつ愚痴も言わず参加させてくれます。大変ありがたいことと感謝しています。
これからの私のいけばな人生は、ボランティアに力をそそぎたいと思っています。いまでもテニスの試合や全国大会があるときは、トイレなどに青森にしかない野草などをひっそりと生けています。お稽古で使った花を老人ホームなどに飾ってあげたく近々、暇を見つけて行動に移すつもりです。
いけばなはまさに生活の一部になっています。伯母にいけばなを指導されたとき、仕事は忙しく、子育てや家事など負担が多くてお花どころではありませんでした。
でも伯母からは、「いつかきっと良かったと感じるときがある」と、言われ続けてきました。途中お休みしながらも続けてきて、いまではいけばなのことで走り回っています。先日は大阪から帰ると、翌日には朝の5時に起き、朝食の支度を済ませてバスに飛び乗り、午後7時に帰宅。いけばなを中心に生活が回っています。
年齢が加算しても花は友達で、みなさんからパワーをいただいています。そして、あの頃の伯母のひと言をいつも思い出しています。
【津嶋 きぬ子さんに一問一答】
●好きな花 | 桜 |
●好きな作家 | 太宰治 |
●お薦めの本 | 人間失格 |
●マイブーム | テレビのサスペンスドラマ鑑賞 |