あこがれの恩師の背中を見つめ
歩みつづけたいけばなの道
一度もやめたいと思わなかったのはいけばなが好きだから
支部役員として記念花展に関われることを嬉しく思います
高校のクラブ活動から始まった藤川さんのいけばなの道。
「おばあちゃんになったらお花の先生になれればいいなぁ」と夢を描き、恩師に少しでも近づこうと努力を重ねるうちに、短大の非常勤講師や支部役員として活躍するまでになられていたとのこと。大好きないけばなと真摯に向き合ってこられた藤川さんに、これまでの道のりについて振り返っていただきました。
人情味にあふれ、パワフルで前向き
谷川先生に大きな影響を受けました
谷川先生と出会ったのは、私が大阪支部の役員を務めるようになってからです。また大阪青山短期大学(現・大阪青山大学短期大学部)の講師となったことがきっかけで、同校を指導していらっしゃった先生とご一緒する機会が増えました。当時、研究院講師として研究会の指導もされていた谷川先生とのお仕事は緊張するうえに、ハッキリと物を言われるので最初は少し怖いという印象でしたが、親しくなるにつれ、人情味にあふれ面倒見の良い先生だとわかり、そのパワフルで前向きな姿勢に、ずいぶんと影響を受けました。私が、落ち込んだりすると「命まで取られる事はないから!」と冗談っぽく励ましていただき、妙に納得し、元気になれるパワーをもらったことを今でもよく覚えています。
谷川先生が幹部を退任されてからは、支部でお会いする機会がめっきり減ったうえに、2014年4月からは大阪青山大学ならびに短期大学での指導も違う曜日となり、ますますお会いできる回数が少なくなり寂しい限りです。とはいえ、大学の連絡などでメールのやり取りを頻繁にしていますし、花展開催時には必ず見に来てくださるなど本当に優しい先生です。
始まりは高校のクラブ活動
不思議なご縁に導かれ、いけばなを続けてきました
いけばなを始めたのは、高校のクラブ活動からでしたが、この時は確か他流だったと思います。その後ブランクを経て、社会人になった時、友人が習っていたいけばな教室に花嫁修業の一環として通いだしたのが小原流との出合いでした。とても可愛らしく(失礼かもしれませんが)優しい先生でしたので、この頃から「おばあちゃんになったらお花の先生ができればいいなぁ」と夢を描くようになりました。
先生は曜日違いでお茶も教えていらっしゃったので、私もお茶のお稽古を始めたものの、仕事が忙しくなり結局お茶は長続きしませんでしたが、いけばなだけはやめようと思ったことがなく、忙しい時でもお稽古は休みつつも、お花だけは毎回受け取りに行っていました。今思えばやはりいけばなが好きだったのでしょう。先生がご高齢になられたため教室は辞めてしまわれましたが、それまで17年もの間お世話になりました。
その後、1996年から教えていただくことになった俣野豊瑞先生との出会いも不思議なご縁です。
当時、研究会の講師をつとめていらっしゃいました綺麗でお洒落な俣野先生はあこがれの存在でしたので、お稽古に通わせていただくことが決まった時はうれしくてドキドキしました。また、先生の教室で14年間助手を務めさせていただきましたが、いけばなの技術や指導方法など本当に学ぶことが多く、大変勉強になりました。自宅教室を開いたばかりの頃は生徒が少なく花屋さんに配達してもらえないこともあり、先生には随分と助けていただいたことも懐かしい思い出です。おかげで生徒が徐々に増え、出産しても子供連れでお稽古に通い続けてくれたり(私はもっぱら保母さん係です)、休まず研究会に出席するなど頑張っている姿を見るにつけ、頭が下がると同時に、指導者として嬉しい限りの思いでいます。

●俣野豊瑞先生の教室の
方々と一緒に奈良の又兵衛桜へ(2014年4月)
春には俣野先生の教室の方々と奈良の又兵衛桜を観に行きました。お花好きが集まっているので、道端の花にも足を留めてワイワイガヤガヤ。いけばな仲間とのお食事やお出かけも楽しいひとときです。

●大阪支部新年初会にて
(リーガロイヤルホテル 2013年1月)
●咲いた、咲いた、さくら展 出品作品
(大阪・そごう心斎橋本店 2009年3月)
俣野先生が大阪支部副支部長ならびに講師をされていたご縁で、私も大阪支部役員をさせていただくことになり、現在は副支部長を務めていますが、これがご縁で出会った方々からもいろいろな刺激を受けていますし、俣野先生が講師をされていた大阪青山短期大学では非常勤講師として授業の助手や校内の挿花をしています。
地区別研究会で優秀賞をいただいたこともありますが、助手や大学での仕事をするうえで、さらにスキルアップするために研修課程を受講し、2012年には研修士になることができ、周囲から声をかけていただいて始めたいけばなの仕事も、経験を重ねるうちに「仕事」としての自覚が徐々に芽生えてきたようにも思います。
作品の完成は苦労を吹き飛ばしてくれます
周年花展を成功させることが一番の課題です

●いけばな大阪展に出品した3人合作作品
(大阪・大丸心斎橋店 2014年10月)
2008年から役員を務めている大阪支部の周年花展には、裏方としても参加して作品を出品していますが、出品するにあたっては、自分の力を精一杯出せるよう努力しているつもりでおります。合作ともなると打ち合わせ時から大変ですが、一つの作品として完成した時には一層感慨深いものがあります。

●吹田市いけばな協会花展 出品作品
(吹田メイシアター 2010年5月)
また、大阪府花道家協会と吹田市いけばな協会の会員としても意欲的に活動し、花展に定期的に出品していますが、いずれの時も、出来あがった作品を見ると、それまでの苦労が吹き飛ぶような気持ちがします。
●神戸ビエンナーレ2013「いけばな未来展」5人での合作作品の前で(左から3番目が藤川先生 メリケンパーク 2013年11月)
大阪支部は長い歴史を持つ大きな組織で、2010年に創立100周年を終え、2015年に105周年を迎えます。どちらの周年花展にも役員として携わることができるのは、このうえなく名誉なことだと思っています。吉田豊貞支部長のもと、皆が力を合わせて一つになり、105周年記念花展を成功させることが、目下の一番の目標です。
俣野先生をはじめ、吉田支部長、甲木先生、谷川先生と、私のまわりにはすばらしい先生がたくさんいらっしゃいます。先生方を見習い、これからも益々いけばなに精進しつづけたいと思います。
●大阪青山短期大学の学園祭にて
左から谷川博雲先生・甲木豊有先生・松井豊桜先生・藤川先生(2011年10月)
主人に誘われてはまった鮎釣り
いけばなに理解を示してくれる心強いパートナーに感謝
いけばな以外の趣味といえば、10年ほど習っていたヨガ。日ごろあまり運動習慣のない私には心身ともにリラックスできる貴重な時間でした。最近は忙しくて行けずじまいでおりますが、いつかまた始めたいと思っています。
もう一つの趣味は鮎釣りです。
元々は主人の趣味ですが、私にも好きになってもらおうと、釣りの一式を買い、夏になると旅館を予約し、川に連れていってくれました。初めての釣りの日、釣れたことに大感激し、まんまと主人の作戦にはまり(笑)、以来、鮎釣りに出掛ける主人に文句を言ったことは一度もありません。
鮎が釣れる場所は夏の暑い時でも風が吹くと涼しく、まわりは緑の木々に囲まれ、何より川底が見えるほど水がきれいな別世界で、自然の素晴らしさを満喫でき、リフレッシュできます。ただ、日ごろはとても優しい主人ですが、私の方が先に釣れると機嫌が悪くなるのが厄介です。こちらも最近は時間がなかなか取れず、一緒に行けないのが少し残念です。
●主人の友人と鮎釣りにて(右端からご主人、藤川先生)

●大阪支部選抜作家展
(大阪・大丸心斎橋店 2008年10月)
●いけばな新進作家展 出品作品
(大阪・大丸心斎橋店北館 2012年9月)
主人は、私が造形作品づくりに悩んでいる時に良いアドバイスをくれて手伝ってくれ(手伝わせている?)、大事な戦力ともなっています。いけばなを続けていくなかで家を空ける機会も増えてきましたが、理解ある主人のおかげでここまで頑張ってこられたと思っていますし、一歩前に踏み出そうか悩んでいる時にいつも後ろから背中を押してくれる大切なパートナーとして本当に感謝しています。
【藤川 豊明さんに一問一答】
●好きな花 | 水仙、芍薬 |
●好きな作家 | 藤沢周平 |
●好きな作品 | 『蝉しぐれ』 |
●マイブーム | お正月の家族旅行(主人、母、妹、私の4人で)普段は全員の予定がなかなか揃わないので、お正月に近場へ出向き寛いでいます。 |