自由にお花をいけさせてくださった三世家元豊雲先生と四世家元夏樹先生。いけばなって最高です。
人と人のつながりで紹介していくリレー形式の「いけばなじん」。
保田さんと最初にお会いしたのは、おそらく和歌山で開催された紀の国展だと思います。初めて家元教場にいらしたとき、保田さんのファッションが私好みでとても可愛いお嬢様だなと思ったことを覚えています。 華奢な体型からは想像できないほど作品はダイナミック。いけばなだけでなく、絵画、チーズソムリエ、園芸、洋服の手作り、船舶免許保有と多種多芸で、そのご活躍をうかがうたび、どこからそのエネルギーが湧いてくるのかと吃驚してしまいます。前回の記事にあったお庭にも驚嘆いたしました マイイケや個展の搬入等にはご主人や息子さんがとても協力的で、うらやましく拝見しています。彼女の和歌山の個展会場で大きな息子さんが突然現れた時は、それまで彼女のことを独身だと思っていたのでとても驚きました。とにかく予想外の元気主婦!これからもたくさん驚かせていただけたらと心から期待しています。 |
![]() ●インターネット花展出品作品(2010年6月) |
高校では器械体操部に所属し、活発過ぎる学生生活を送っていました。同級生から「おしとやかな面を育てるために、いけばなはどう?」と誘われるままにボーッと華道部に入ったのが、いけばなとの出合いです。卒業後、何年かのブランクを経て、24歳から三世家元豊雲先生の教場で本格的なお稽古をスタートさせました。一時は四世家元夏樹先生のお教室にも行かせていただきました。 BG(今のOL)時代は仕事帰りに梅田の教室に通いました。私と同年代の方もいましたが、奈良の大澤草雲先生や迎田豊翅先生、研究院助教授になられた横東宏和先生、後に大阪支部長になられた一柳豊胤先生など多くの先輩もおられ、いけばな以外でもいろいろとご一緒させていただきました。 豊雲先生との思い出は語りつくせぬくらいたくさんあります。教場に通い始めたころ、私の鋏はキイキイ鳴るくらい錆びていて、豊雲先生が自ら油を注して直してくださいました。お家元を若いころからよくご存じの故民谷豊悦先生は、家元がお怒りになるのではとハラハラしていらしたそうです。ある時、家元から雷が落ちたような怒りの大声で指導を受けている方があり、次に見ていただく私は身も心もすくみました(教室中がシンと凍りつきました)。ところが私の作品をご覧になると「面白いじゃありませんか」といつもの優しいお声。そんな具合で、私は何をしていても先生に一度も怒られたことのない、甘やかされた生徒でした。 またある時、水仙の葉組みしかお稽古花がなく四苦八苦して最後の一人になってしまい、先生の運転手さんが「お家元、お時間ですが」と来られたのですが、先生は「僕の生徒が終わっていないので」とお答えになったのです。生徒と思ってくださることへのうれしさ反面、早く仕上げなければと焦ったことを覚えています。別の時にも私を指して「僕の生徒」とおっしゃったことがあり、感激で涙が出そうになりました。甘いものが苦手な私でしたが、お稽古終わりに豊雲先生と先輩方といただく和菓子のおいしさは格別でした。そこではとてもためになるお話を聞かせていただいたはずなのに、当時はこれほど長くいけばなを続けるとは思わず、まったく猫に小判でもったいないことをしたと思います。 |
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![]() ●研修会館にて撮影していただいた写真に三世お家元のサイン(右下)をいただきました。「マジックをはじかないようにしないとね」と写真をティッシュでゴシゴシするお姿にさすがサイン慣れしてらっしゃる!と感心。 |
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三世、四世両先生の教場に参加するというと本場中の本場でさぞや大変と思いでしょうが、お二人ともとても自由にお花をいけさせてくださっていたので、実のところ研修課程Ⅰ期を受けた時には「小原流にはこんなにしっかりとした花型があるのだ」とカルチャーショックを受けたくらいです。研修友達にも「あなた本当に小原流習ってらっしゃるの、どこの社中さん?」と言われ、豊雲先生ですと答えたら信じられないという顔をされました(笑) 豊雲先生にはいける楽しさを、夏樹先生には造形の面白さを教えていただいたように思います。後年、教室を開いた時、この研修で苦労して学んだ花型等がとても役にたちました。たとえ講師をめざさなくても、ぜひ一度は研修課程を経験することをお勧めします。全国に励まし合う友達もできるし、とにかく「いけばなって最高」と思えるはずです。 |
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![]() ●ご結婚されたころの四世お家元に、私の造形作品についての御高評をうかがっている所です。普段は寡黙な先生でしたが、こういう時は多弁でいらっしゃいました(“オマージュ アントニータ ピエス展”協賛グループ展 芦屋ラポルテホールにて) |
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また、家元教場で撮った写真の整理を兼ねてブログを開設しました。個人名を出さない、研究会の花は終了後にアップするなど、運営上の注意点を守っていますが、基本的には個人的な写真集の面持ちですね。うちに通っている生徒さんは高度すぎて見るだけだそうですが、ご主人の転勤でマレーシアにいる生徒さんは参考にしてくださっているようです。思いがけず“ブログ友”もできました。 これからもパソコンを活用し、家からあまり出られない方や時間にゆとりのない方にも指導する方法はないかと模索中です。ブログ 「ごくらく鳥花」はこちらから |
1983年に東京で開催された第5回マイ・イケバナを観にいき、不遜にも「私にもできる」と思ってしまいました。それが造形との出合いです。第6回(86年大阪開催)から参加し、第10回(90年大阪開催)で初入賞。第22回(2002年東京開催)では特別賞もいただきました。二度目の東京では自信満々で出品したものの参考作に終わり、悔しくてホテルで声を上げて泣いたこともあります。99年にA氏賞をいただいた作品は、実は一旦梱包した後にひらめいてぎりぎりに作り直したもの。夏樹先生が「まず申込みなさい。そうすればぎりぎりに追い込まれて何かができる。申し込まなければ発表できないよ」とおっしゃっていた意味が分かった瞬間でした。大阪で開かれる新進作家展には45歳の定年まで約10年間出品させていただきました。 | |||
![]() ●第10回マイイケにて初受賞(1990年) |
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![]() ●第1回神戸ビエンナーレ出品作品 |
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![]() ●熊野古道野外展作品 |
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朝夕に声が出にくくなったのをきっかけに始めた発声練習は、カラオケや甥っ子の社交ダンスの応援にも役立っています。社交ダンスのプロになった甥っ子がイギリスの世界大会に出場するというので、英会話の勉強も始めてしまいました。今までもクラシックバレエ・器械体操・フィギュアスケート・社交ダンス・算盤・習字・写真・電気(電子ではない)オルガン・ニットソーイング・洋服リフォーム・料理学校・カラーコーディネーター・編み物・ミシン指導員等々いろいろやってきて、多才・話題豊富と言われ、調理師免許やカラーコーディネーターは免許も取得しましたが、英会話は、さて、どうなることでしょう。 |
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【伊東 豊遊さんに一問一答】
●好きな花 | 鷺草 |
●好きな小説家 | 本はSF・ミステリー・ファンタジーの乱読で、作家を選びません。 |
●お気に入り作品 | カフカの『変身』(人生観を変えた本です) |
●好きな音楽 | 聴くのはB’z。見るのはKinKi Kids。 |
●好きな画家 | ダリ |
●マイブーム | 甥っ子夫妻のダンス応援と英会話 |