いけばなじん

File No. 136

水村 恵順さん

水村 恵順さん

埼玉県/東京支部

花のある人生を
愛する人たちとともに

恩師の教えを忘れず
いけばなじんとして歩み続ける

花との出合い、小原流と巡り合ったきっかけ、そして今、どう生きようとなさっているのか、お一人おひとりの人生に寄り添いお話を伺ってきた「いけばなじん」は、今回で最後となりました。最終回にご登場いただくのは、東京支部役員として活躍され、今も後進の指導に邁進なさっている水村 恵順さん。社会人になってからお稽古を始め、ご結婚後も子育て中もご自分のペースで続けながら、恩師やお仲間との絆を深めてこられたいけばなとの日々をお話しいただきました。

研修課程で意気投合した平田さん
物静かな印象がお話しして変わった明るいお人柄

平田さんと初めてお会いしたのは2019年、研修課程Ⅱ期前期でした。どちらから声を掛けたのかは忘れましたが、静岡支部からお一人での参加とお伺いしましたので、研修中は他のお友達と一緒に疑問点や分からないことを話し合いました。

 出会った時は、物静かで落ち着いた雰囲気の方という印象でしたが、お話しするうちに50歳を過ぎてからいけばなを始められたこと、水泳やテニスなどスポーツがご趣味なことを知り、明るくて行動的な方と印象ががらりと変わりました。他のお友達も連れだって平田さんと夕食を共にしたり、他愛もない話で盛り上がるなど、タイトで厳しいスケジュールの研修課程を楽しく過ごしました。平田さんはとても勉強熱心で、丁寧にノートを書かれていたことを覚えています。

 しばらく連絡を取っていませんでしたが、今回の『いけばなじん』掲載にあたりご紹介くださるとのお電話をいただいたことがきっかけとなり、その後何度かメールを交わしています。「また研修でお会いできることを楽しみにお互い頑張りましょう。」とお話ししました。

お花が好きで仲間が好き
心技ともに尊敬する先生方との出会いも宝物

庭の草花をいける(2020年)

両親ともにお花が好きだったので、庭にはツツジやくちなしの花など、必ずお花が咲いていました。子どもの頃は父と一緒にプランターにチュ―リップの球根を植えたり、母から月下美人の花が一晩しか咲かないことを教えてもらったりと、家族の風景にはいつも植物があり、私もお花にとても親しみを感じていました。毎年実がなったザクロの、食べると甘酸っぱくて渋みのある独特な味は今でも覚えています。

いけばなは、会社の華道教室がきっかけで始めました。短大を卒業し入社したての頃、同じ課の同期の女性と習い始めました。お稽古の日は、朝から彼女と「今日は仕事を早く終わらせようね。」と申し合わせ、気合いを入れて仕事に臨みました。残業の多い部署だったので二人揃ってはなかなか行けませんでしたが、お花を好きな気持ちが強く、花をいけると心が癒やされました。だからこそ忙しい中でも続けられたのだと思います。当時、一緒に習っていた同期の女性とは今も親交があり、花展を見に行ってから食事をするのが楽しみの一つになっています。

入門当初は東京支部の中嶋 董舟 先生に教えていただき、会社を辞めてからもお正月花のいけこみやお稽古のお手伝いをしていましたが、残念なことに中嶋先生は私の結婚式の1カ月前にご病気でお亡くなりになってしまいました。しばらくして、池袋コミュニティー・カレッジのパンフレットに東京支部の鈴木 茂子 先生(前支部長)のお名前を見つけ、入会。鈴木先生はお稽古ではとても厳しいですが、素顔はとても優しい方でした。子どもが生まれてからは恵比寿のお教室に通っていたのですが、時々子どもを連れていくと鈴木先生がお茶やお菓子を出してくださり、話し相手にもなってくださいました。

お誕生日会にて (2012年 左奥が鈴木先生 右奥が水村さん)

先生や社中の皆さんとは時々お食事に行きましたが、先生と同じ11月生まれの人だけで開いたお誕生日会が一番心に残っています。とても和やかで楽しいひとときでした。鈴木先生がお亡くなりになってからは東京支部の研究院講師、馬場 琰珠 先生に教えていただいています。馬場先生のご指導は分かりやすく丁寧で細やかで、私は先生の技術、お人柄ともにとても尊敬しています。心穏やかにお花をいけることがいかに楽しいことかを改めて感じながら学ばせていただいています。

みんなの知恵と力を結集
支部役員を経験したからこそ味わえた喜び

いけばな協会展 出品作(2017年 新宿高島屋にて)

2009年に東京支部専門教授者地区協議会の埼玉地区委員、翌年には準幹部に任命されました。準幹部として4年間、幹部として4年間、研究会開催時の他、月に5日ほど事務所に通い、主に会計担当として東京支部の事務所でお仕事をさせていただきました。花展の時はいけ込みや朝晩の手直しの他に会場外の仮設事務所でのお仕事も担当しましたが、自宅が会場から遠くてなかなか帰れず、ホテルや都内の実家に泊まったこともありました。現在は埼玉地区委員だけを務めていますが、支部役員でなければ経験できない貴重な時間を得られ、とても良かったと思っています。

いけばな協会展 出品作(2018年 新宿高島屋にて)

支部役員になってからいけばな協会展にも何度か出品し、東京支部花展で初めて造形を制作したことも楽しい思い出です。2015年に埼玉県小川町の「細川紙(ほそかわし)」の製造技術が重要無形文化財の指定を受けたのですが、その和紙が知りたくて現地まで赴き、造形作品で使うことにも挑戦しました。

東京支部花展 造形作品(2015年 新宿高島屋にて)
みんなの花展 地区委員合作(2015年 東京芸術劇場にて)

埼玉地区委員は北地区委員と合同で活動をしていますが、花展の開催が主な行事で、会場(東京芸術劇場)がとれなかった際は講習会なども行っています。最近では東京芸術劇場での花展開催の他、2016年の目白庭園・赤鳥庵(せきちょうあん)で水引講習会、2019年は大宮盆栽村・清香園で盆栽教室も開催しました。盆栽教室はキャンセル待ちが出るほど好評でした。 

みんなの花展 地区委員合作 (2018年 東京芸術劇場 にて)

皆で考えると一人では思いつかない素晴らしい作品ができ上がることがあります。みんなの花展や講習会が好評だったのは、地区委員全員の力と歴代の地区委員の先輩方や支部役員の先生方の支えがあったからこそ。このような活動の場を持つことができ、いけばなを続けてきて本当に良かったとつくづく思いました。

新宿カルチャースクールでの水村さん(2020年)

作品をいける際に気をつけているのは考え過ぎないことです。鈴木先生に「あなたは時間をかけ過ぎです。さっといけなさい。」と言われたことがあります。じっくり考えるタイプなのでなかなか難しいことですが、先生の教えを常に心がけています。

教授活動としては、自宅と坂戸市文化施設オルモ(公共施設)でいけばなとプリザーブドフラワー、ハーバリウムなどを教えています。新宿のカルチャースクールでは、いけばなを教えています。マスク着用、アルコール消毒などのコロナ対策を怠らず、今は自分のできることを確実に実践していきたいと思います。

坂戸市文化施設オルモ教室での水村さん(2020年)

高校時代以来のギターに再挑戦
「継続は力なり」を痛感しつつ練習に夢中

『Club IKSPIARI』にてライブ(2008年 右から2番目が水村さん)

趣味は音楽です。クラッシック、ジャズ、ポップスなどジャンル関係なく何でも聴き、楽器はギター(アコースティックギター)を演奏します。高校生の頃に興味を持ち始め、ギター教室に通ったこともありますが、しばらく弾いていなかったので弦を張り替え、チューニングしていざ弾こうと思っても以前のようには弾けませんでした。「継続は力なり」と言いますが、練習を続けてこなかったことを後悔しました。習っていた頃の楽譜を懐かしく見ているうちに夢中になり、最近では2009年のサマーコンサートで演奏した『Summer』(久石譲)と『Tomorrow never knows』(Mr.Children)は何とか弾けるようになりました。今後はギター教室で習った頃の曲を復習し、教室を辞める直前に練習中だった『Nuovo Cinema Paradiso(ニュー・シネマ・パラダイス)』(エンニオ・モリコーネ)が弾けることを目標にしています。

【水村 恵順さんに一問一答】

好きな花

バラ、萩、クローバー

好きな作品

『ニュー・シネマ・パラダイス』(音楽/エンニオ・モリコーネ、監督/ジュゼッペ・トルナトーレ)

水村さんにとってのマイブーム

庭づくり。コロナ禍で家にいることが多くなると荒れた庭がとても気になり始めました。何とかきれいにしたいと思い、ネジバナ、ヒメツルソバ、クローバー、ツユクサ、エノコログサなど可愛い野草は残しながら、伸びてしまった紫陽花、萩、紫式部などは剪定しました。ホトトギス、エノコログサ、シダを使って琳派調いけばな風にしたり、木苺を写景の下草に使ったりしています。檜扇、シャガなどもありますが、いけばなに使える花材を増やしていきたいと思っています。