いけばなじん

File No. 129

清水 豊晴さん

清水 豊晴さん

愛媛県/宇和島支部

人生一度きり!
何事にも先入観を持たずおもしろがって人生を楽しみたい

小原流に出合い、助け合える同志と出逢い
そこで得られた絆は私の宝物

幼い頃から花を育てることがお好きだった清水さん。小原流いけばなと出合い、子育てやお仕事に忙しい中でもたゆまぬ努力を続けてこられました。そのバイタリティはさまざまな世界に広がり、支部活動に励みながらも、ゴルフやお菓子作り、猫の保護活動、フラワーアレンジメントなどに及んでいます。そんな活動を温かく見守ってくださるご家族にも感謝しつつ、「今日が一番若い日」を信条に歩み続ける、清水さんのいけばな人生をお伺いしました。

緊張の研修課程がいつしか楽しみに
榎さんが教えてくださった花材への感謝

榎さんと初めてお会いしたのは確か2010年6月の研修課程Ⅱ期1年目。Ⅰ期でご一緒だった清さん(次回ご登場予定)を探しに入った控え室で出会い、すぐに打ち解けてお話しするようになりました。私よりお若いのですが頼りがいのあるお姉さんのようで、研修後の食事も、近くの美味しいお店を調べていただき楽しく過ごしました。また、榎さんの親先生が幹部研修で私がお世話になった方だと判明し、より親しみが増しました。榎さんは小原流の知識も深く、いろいろなことを教えていただいています。

ただ、榎さんは北海道の小樽、私は南国・四国の宇和島に住んでいることもあり、会う機会はなかなかありません。今は年賀状とメールで連絡を取り合い、小樽ならではの物を送っていただいたり、地区別の結果を桔梗誌で確認して「おめでとう」メールを送ったりしていますが、いつかまた大阪でお会いできる日を楽しみにしています。

以前、榎さんと花材の話になり「ハマナス」をいけられた写真を送っていただきました。四国では見ることのない珍しい花材ですが、考えてみれば私の周りにも他府県では珍しい貴重な花材が野や山、畑にたくさんあります。見慣れた花材を当たり前だとは思わず、ありがたいと感じる心を持ちながら、それらを積極的に使っていこうと感じた出来事でした。

愛媛県いけばな芸術協会創立50周年記念選抜いけばな展での作品(2018年3月)
宇和島市文化祭出瓶作品(2019年11月)

花を育てる興味から花をいける喜びへ
打ち込むほどに実感した「基礎を学ぶ」大切さ

祖母の影響で花作りに興味を持ち、中学生の頃に初めて種から花を育てました。茶色のスカビオサの和名「西洋松虫草」に惹かれ、黄色のバラ苗と一緒に買って育てたのです。育てた花はきちんといけたいと思い、高校・社会人では他流を学び、結婚を機にしばらく休んでおりましたが、30歳の時に宮本豊都先生に出会ったことが小原流を学ぶきっかけとなりました。当時は、3人の子育てと夫の会社を手伝いつつ毎週お稽古に通いました。子どもを連れていくこともありましたが、切った枝や茎で遊ばせてもらったり、時には奥の部屋でテレビを見せてもらったりと、優しく面倒を見ていただき、ありがたかったことを今も覚えています。

四国地区青年部展 牧野植物園にて(左から3人目が清水さん)

仕事などが落ち着き、45歳を過ぎたころから支部青年部役員をさせていただき、同時に専門教授者にもなり、さらに地区別教授者研究会に参加するなど、学ぶ機会が一気に増えました。

学んでいくうち、生徒たちに間違ったことを教えてはいけない、小原流いけばなをしっかり伝えたいとの思いが強くなり、基礎からしっかり学び直そうと50歳を過ぎてから研修課程にチャレンジしました。そこで出会った方々も、小原流を学んでいなければお会いできなかった人達だと思うと不思議なご縁を感じます。いけこみ会場でたまたま隣の席だった方や控え室で近くに座った方など、今も懇意にさせていただいている皆さんのことを思うと、「偶然は必然だったのでは?」とも感じます。仲間というより「同志」であり「戦友」。今でも「ちゃん」付けで呼び合うほどの仲の良い人もいます。

Ⅱ期修了後は事情があってしばらくお休みしており、支部でのお仕事も受けられない時期もありましたが、またいつかⅢ期への挑戦も考えています。あの時の皆さんは次々とⅢ期を修了し、研修士となられました。その方たちの頑張りが今の私を支えています。『挿花』等で皆さんの活躍を見るたび、私もまだまだ頑張らないと、と思わせてくれるのです。

私は大きな経歴も何の肩書もない平凡な主婦ですが、誰かの“何か”になれば…と常々思っています。「いけばなじん」に紹介していただくことも、誰よりもお世話になった榎さんからのお願いでしたので頑張ってみました。

みんなの花展宇和島地区花展 宇和島支部役員の皆様とともに(向かって右が清水さん)

活気あふれる支部活動で学び合う思いを共有
幹部として華やかな表舞台と地道な裏方の両面を経験

宇和島支部では、「みんなの花展」を4地区(愛南、津島、宇和島、鬼北)に分け、順番に開催しています。各地区それぞれに特徴がある花展で、準備から楽しんでお手伝いしています。青年部時代の活動は楽しい思い出ばかりで、みんな仲良く和気あいあいな雰囲気のなか学んでいました。初めて青年部展が開催されたのは徳島で、私は2度目の高知から参加し、香川西、松山まで、作品作りから展示まで取り組みました。

青年部部長の時には「こけ玉講習会」、「ちりめん小物講習会」と2年続けて講習会を行い、たくさんの方々にご参加いただきました。準備から当日までみなさん大変だったと思いますが、頑張った甲斐もあり、こけ玉の写真は『挿花』に取り上げていただけました。

幹部になってからは支部の周年行事にも関わらせていただきました。いけこみ前の準備はとても大変でしたが、開催当日の華やかさも、そんな裏方としての役割を経験してこそ喜びが大きくなったのだと思っています。

宇和島支部青年部主催「こけ玉講習会」(前列右から4人目が清水さん)
四国地区青年部野外展にて、お家元に作品説明をされる清水さん(左から2人目)

信条は「今日が一番若い日」
自分に何ができるかを問いかけながら生きる

今の楽しみはゴルフです。60歳から始め、月1回、同級生とのプレーを楽しんでいます。また無類の猫好きで「前世は猫だったのでは?」と思うほど猫が可愛く放っておけません。この30年余りで7匹の捨て猫を保護しました。4匹は天寿を全うし、今は3匹が家にいて毎日癒されています。野良猫や殺処分をなくすため、自分にできることをいつも考えています。

もう一つは、フラワーアレンジメントです。50歳を契機に、「やり残したことはないか?」と考えた時、趣味で作っていたブライダルブーケを含め、きちんと基礎から学びたいと思い、月3回、車で1時間ほどの松山に通いました。基礎だけ…のつもりが講師の資格まで取らせていただきました。「小原流いけばな」という日本の伝統文化と、ヨーロッパで古くから伝わる花の文化は、相反するものではなく学ぶところがたくさんあります。お互いの良いところを認め合い、時には私が「いけばな小原流」をレクチャーして喜ばれることもあります。

知人とのゴルフを楽しむ清水さん(中央)
岩合光昭さんの猫の写真展

60歳の時には、小さなお菓子のお店「プティ・フルール」を始めました。2020年4月で丸8年になります。お稽古後のお茶の時間に手作りで提供していたシフォンケーキが評判を呼び、お世話してくださる方のおかげもあって週に1度、教室の一部を売り場にして販売することになったのです。他にアップルパイやチーズケーキなども含め、温泉施設やキャンプ場の売店でも販売しています。週に1回だけの楽しみです。

みんなの花展や周年行事、定例研究会、地区別教授者研究会など家を空けることが度々ありますが、家族は嫌な顔せず送り出してくれます。支部研究会に初めて出席して以来35年余り、「家族の協力あってこそ」という感謝の気持ちを忘れず、前向きな学びの姿勢を大切にしていきたいと思います。作品では花の命を大切により美しくかわいらしく見えるよう、いける努力をしています。

自宅教室お稽古風景

これからも、さまざまなことに対して先入観を持たず、恐れることなく面白く人生を楽しんでいこうと思っています。「人生は一度限り。今日が一番若い日。過去と他人は変わらない。念ずれば花開く。」の思いです。そして日々のおけいこは楽しくカジュアルに!年齢を言い訳にせず、これからもできることをコツコツと繰り返し、頑張っていきます。

【清水 豊晴さんに一問一答】

好きな花

特に嫌いな花はなく全部好き。「小さい花」や「香りのあるバラ」、青い「紫陽花」、「コスモス」(群れ咲く姿は感動ものです)

好きな作家と好きな作品

ベット・ミドラー『ザ・ローズ』、井上陽水(特に初期の頃の曲が好き。)、伊藤若冲の水墨画

清水さんにとってのマイブーム

数独、漢字検定、家庭菜園、娘と2人で行く『ケミストリー』のライブ

清水豊晴さんからご紹介いただいたから次回の「いけばなじん」は、清幸江さん(静岡県・富士支部)です。研修課程Ⅰ期で出会い、励まし合ったところから仲が深まりました。華奢で小柄ながら、秘めたパワーと実力は人一倍大きく、研修課程Ⅲ期挑戦に向け、清水さんがエールを送ってらっしゃいます。どうぞご期待ください。