最後まで諦めず前進した先にある
笑顔と感動に出会える喜び
いけばなにもケーキづくりにも
気持ちを込めて「一所懸命」に
優しさと信念をあわせもった石塚さん
交流のきっかけは偶然の巡り合わせ
石塚慧晶さんとのお付き合いは偶然の出会いから始まりました。
研修課程Ⅲ期2年目の後期の帰り道のこと。関西空港に向かうため、なんば駅で電車を乗り換えて座席に座ると、目の前に小原流の花包みを持った方が!もしや、さっき、研修会館にいた…?とお互いに目をパチクリ。お顔に覚えはなかったものの、「小原流の研修ですか?」と私の方から声をおかけしました。乗車するタイミングが少しでもずれていたら、そして、その車両に乗らなければ、この出会いはなかったかもしれません。
石塚さんの第一声は「研修ですよね!」。それから飛行機が出発するまでの1時間半、旧知の友達のようにさまざまなことを話しました。そして、石塚さんは北海道・札幌へ、私は九州・長崎へと帰途につき、「また来年!」とお別れしました。
次の年、再び研修課程のため大阪でお会いしたときには、開拓したポルトガル料理のお店で再会を祝って乾杯!おしゃれな黒い石のお皿、珍しくて美味しいお料理におしゃべりも弾み、楽しいひとときを過ごしました。
石塚さんはとてもしっかりとしていて優しい方です。また大変おおらかで、私が一杯一杯になっているときには「大丈夫、大丈夫」と励ましてくださいます。ある時、トレードマークの長い髪をバッサリ短くされて驚いたことがありました。髪の毛は、子どもたちのために医療用ウイッグを作る活動団体に寄付されたのだそうです。「誰でもできるのよ〜」とおっしゃいますが、誰もができることではありません。社会貢献にも積極的で、とても素敵な方だと思います。
今でもラインで連絡を取り、交流を深めている大切なお友達です。
私を育ててくれた長崎支部
歴史がありチームワークも抜群です
子どもの頃、母が小原流いけばなを習っていたので、家の玄関にはいつもお花がありました。小学1年生の時、「お家の中で、チューリップが緑の芝生の上に咲いている」と思い、ずっと眺めていました。今考えればチューリップを使った写景盛花で、芝生は立日蔭だったのでしょう。他の作品の一つひとつのかたちは覚えていませんが、私にとって「いけばな=小原流」でした。
成長し、大学生になった時、何か習い事をしてみたいと思い、北九州小倉のカルチャーセンターで短い間でしたが尾田光秋先生より小原流いけばなを習いました。しかしその後、結婚、子育てと15年もお休みしてしまいました。主人の転勤先の熊本で本藤英子先生と出会い、再び勉強する機会を得て、お花とふれあう楽しさに目覚めました。しかし、またまた主人の転勤で長崎に行くことになり、そこで池田華苑先生より親切にご指導いただきました。研究課程に進むにあたり、西晃宏先生にご教授いただくことになり、今に至っております。
●長崎くんち(庭見せ)は長崎っ子にとってウキウキと心躍る大きなお祭りです
長崎支部は、初代支部長の西 華友 先生から始まり、90年に及ぶ歴史ある支部です。2014年にはお家元をお迎えし、グラバー園で創立90周年記念花展を開催。長崎支部がグラバー園の挿花を30年にわたって続けさせていただいてきたというご縁や、トーマス・グラバーの子息である倉場富三郎の妻・ワカさんが小原流を学ばれていたという歴史もあります。
●グラバー園挿花(2016年6月)
支部の行事は目白押しですが、支部長を中心に一致団結し、和気あいあいとした雰囲気の中、チームワークで何事もやり遂げる力はすごいと自負しています。私は、今は幹部として支部に所属しておりますが、ここまで指導し、育てていただいた先生方、特に親先生である西晃宏先生には、研修課程を無事修了できたことも含め、深く感謝しています。
●長崎支部のメンバーと(右下が沖村さん 2017年7月)
●第7回九州地区青年部野外展にてエビカニクスを踊りました
(後列右端が沖村さん 2017年10月)
●正覚寺にて“おんなの寺子屋「桃と花の楽芸会」”(右が沖村さん 2016年3月)
マイ・イケバナを通じて学んだ創作の奥深さ
周囲の人々の支えに感謝
思い出深い出来事といえば、2015年に初めて「マイ・イケバナ」に挑戦し、出品したことです。当たり前ですが、まず何をどうするか、何もないところから雲をつかむような気持ちで挑みました。毎日考えるものの何カ月も良い案が浮かばず、諦めそうになりながらも模索を続け、コスト、時間、会場での作業、輸送など、期日のギリギリまで考え制作していたのですが、「まっすぐに線を引くことがこんなに難しいなんて…」「作品を何の上に置いたらいいんだろう?」とまたもや問題が山積みに。ホームセンターを巡ってあれこれ探しまわるも疲れ果て、諦めて帰ろうとしたそのとき、ある工具屋さんと出会いました。
作品を置く大きなアクリル板を探していた私に、工具屋さんは「そんなもん普通のところには売っとらんよ。工場から直接送るから5日はかかるけれど、それでもよかね!」と言ってくださいました。それが本番5日前、ギリギリのタイミングでした。しかも、台風が来るというアクシデント付き!
なんとか板は届いたものの、制作会場ではアクリル板に静電気が起きてホコリが集まり、拭いても拭いてもダメだという事態に。不測の状況に戸惑う私に、隣で作業をしていた大阪支部の伊東豊遊先生が「これ、使ったらいいよ」と静電気除去のスプレーをくださいました。すると、不思議。ホコリは去っていき、アクリル板が美しい鏡のようになりました。初対面の私に親切にしてくださった伊東先生には本当に感謝しています。
制作を終え、お家元から「参考作品」をいただいた時は、天にも昇る嬉しさでした。悩んで苦しんで努力すれば何かしら答えはみつかるものだと実感し、また手助けしてくださる人の温かさも感じることもできました。
リレーを引き継いだ石塚さんが伊東先生をご存知だったり、工具屋さんのご主人と奥様が後日みんなの花展も見に来てくださったりというリレーもあり、人と人のつながりの不思議さと温かさを感じています。
●マイ・イケバナ家元参考作品「あさきゆめみし」(2015年)
この写真も、今回のために伊東先生がCDにして送って下さいました。
私が撮った写真はピンぼけしていたのですが、伊東先生の写真は綺麗で、感謝しています。
●研究会や花展、お稽古のお花などで大変お世話になっている花幸さんと(2017年10月)
夢はカフェのオーナー!?
皆が感動する美味しいケーキを目指して
趣味はケーキ作りです。お料理でもそうですが、ひとくち食べた時の「おいしいーっ!」というトキメキと、ちょっとした驚きを感じてもらえるようなお菓子づくりを目指しています。自分ではまだまだレシピとして完成していないと思っても、周りは「売っているのよりよっぽど美味しい」と言ってくれるのですが、何かが違うと感じることがあります。期待どおりに出来上がり、召し上がった方が本当に「おいしい!!」と笑顔になる瞬間が最高に幸せです。いつか、おしゃれなカフェでケーキをお出しするのが今の私の夢です。
●りんごのケーキとかぼちゃのチーズケーキ
他には、習字、最近はペン習字のお稽古も始めました。
初めて生徒さんをもったとき、許状に引次者として名前を書かなければいけないことを知って、字が上手になりたいと思い、習い始めました。今は准二段となり、こども教室の板書も自信を持って書けるようになりました。「字がきれいになったね、見やすくなったね」とお褒めの言葉をかけていただけることが単純に嬉しいです。
これからもあらゆることにさらに精進し、いつも見守ってくださる周りの方々に感謝の気持ちを忘れず、頑張っていきたいと思います。
●教室の前の出窓。季節によってアレンジしています
【沖村 恵華さんに一問一答】
●好きな花 | グリーン・マム、燕子花 |
●好きな作家と作品 | オディロン・ルドン「グラン・ブーケ」、青木繁「海の幸」 |
●マイブーム | スポーツクラブでの筋トレと、泳ぐこと |