みんなのいけばな

File No.90

澄川 千賀子さん 澄川 千賀子さん 愛知県/名古屋支部

「学びたい」気持ちの扉を開いてくれた 恩師に感謝

花へのときめきは
母との思い出にも重なって

中学校のクラブ活動からいけばなを始められた澄川さん。実は小原流との出合いはそのずっと以前に遡ります。図書館司書として勤めながら、恩師に勇気をもらい挑戦した研修課程、湧き出る探究心から始めた趣味など、何事にも真摯に取り組まれる澄川さんに、いけばなや趣味への造詣について語っていただきました。

努力家で周囲からの信望も厚い田中さん 惜しまず知識を教えてくださるお人柄に感激

 田中さんとの出会いは、澤木隆子先生に師事していた2004(平成16)年頃だったと思います。「同じ社中の別の教室にとてもお上手な方がいらっしゃる」と、以前からお名前はよく伺っていました。2006(平成18)年に私が研修課程を受講することになり、研修の先輩である田中さんからさまざまなアドバイスをいただくなど、よくお話をするようになりました。
 澤木先生のお嬢様である松浦友香先生のご指導のもと、田中さんと私、そしてもうお一方の3人で研修課程のための特別稽古を受講。そこではそれぞれにいけたお花を批評し合い、切磋琢磨して、とても有意義な時間を過ごすことができました。そのおかげで3人とも無事に研修課程を修了することとなりました。

 田中さんは、ご自身で知り得たことを惜しみなく熱心に教えてくださる方です。例えば、研修課程で取り上げられた花材の取り合わせ一覧を作成して「この場合はこういうふうに」と親切にアドバイスをしてくださるのですが、そんなときも決して驕ることのない姿勢に感銘を受けます。また田中さんの通われている教室で時折お稽古をさせていただくのですが、教室での様子を拝見しても田中さんが皆さんから信頼されていることが感じ取れます。教室が違うので日頃はあまりお会いすることはありませんが、月一度の特別稽古でお会いできたときにはお互いのお花の写真を撮りあったり、批評しあったりと、ともに学び合うことができる関係です。

幼い頃の記憶が結びつけた小原流いけばな 無我夢中で取り組んだ研修課程は大切な経験

地区別教授者研究会
優秀賞受賞作品(2016年8月)

 いけばなを習い始めたのは中学生のときです。クラブ活動の中に「華道」があり、それが小原流だったので即入部しました。今思うと、幼稚園の頃、母の通う小原流いけばな教室についていき、母のそばで残花をもらって剣山に挿して遊んでいた記憶が、「いけばな=小原流」と結びついたのだと思います。
 また、幼い頃、母に背負われて庭の花を眺めた記憶と母の声、花好きな母が下駄箱の上にいつもさり気なく花を飾っていた記憶が蘇り、そのことからも私がいけばなの道へと導かれたのは自然なことだった気がします。
 とはいえ、お稽古を始めたのは遊び盛りの中学生の頃。高校生になってからも、中学校の部活の指導をされていた三重支部の百々(どど)豊晃先生のお宅に母と一緒に通っていましたが、どんなお花をいけていたのかあまり覚えていないところをみると、当時はあまり熱心な生徒ではなかったのかもしれません。

 高校卒業後は進学、結婚でしばらくお稽古から離れていましたが、子育てから少し解放された30代、仕事と家事の毎日に物足りなさを感じていたときにいけばなのことを思い出しました。再開してからはどんなに忙しいときも、転勤になったときも、いけばなが私の息抜きであり、心の拠り所となっていきました。

新年初会にて「努力証(研究会出席30年皆勤)」を受彰(2016年1月)
研修士研修会で参考花となった作品
(2016年3月)

 50歳を過ぎた頃、より腕を磨きたい、研修課程に参加したいと思いながらも「もう歳だから」と踏ん切りがつかなかったのですが、澤木先生から「歳は関係ありません」という力強いお言葉をいただきました。そのお言葉、そして背中を押してくださったことに感謝しています。
 研修課程の7年間はとても充実していました。在職中でしたので、打ち合わせや会議の日程をやりくりしながらの参加でしたが、研修のための特別稽古や『桔梗』を開いて勉強する
日々…、本当に夢中でした。それだけに修了したときは「ああ、終わってしまった…」とまさに「研修ロス」状態。とてつもない喪失感に襲われました。
 そんな思い出深い研修課程の中で一番心に残っている出来事といえば、U 期で写景盛花自然本位をいけたときに、研究院の先生から「写景盛花の真髄をまったく理解できていない!!」と厳しいお言葉をいただいたことでしょうか。当時はとてもショックでしばらく呆然としていたことを覚えています。でもそれ以降、「お花をより綺麗に見えるようにいけよう」と自分に言い聞かせるようになり、今となってはその先生の一言が私のいけ方を変えてくださったのだと感謝しています。
 また、研修で得た知識・技術は、生徒さんたちを指導するうえで、私の自信の源になっています。

「中日いけばな芸術展」出瓶作品
(2013年5月)

 数年前から「中日いけばな芸術展」に出瓶しています。この花展では各流派からさまざまな作品が出品されるので、いろいろなヒントをいただき参考にしています。自分の好きな花を好きな花器にいけられることも魅力ですし、当日まで構想を練るのが楽しい時間です。

毎回、新たな感動がある老人ホームでのお稽古 いけばなのもつ力を実感

 現在は自宅で教室を持ちつつ、老人ホームでもご高齢の方々に、月に1度いけばな指導をしています。皆さんが月1回のいけばなを心待ちにしてくださっているのが嬉しく、私としても励みになる活動です。94歳の方がいけばなを始められ、その前向きな姿には毎回感動を覚えます。また手が不自由な方も休まずに出席してくださって、「綺麗なお花に触れられるのは嬉しい」ととても明るい表情をされるのです。そんな皆さんにお会いするたび、お花の力を感じるとともに、この方たちとの時間を大切にしたいと感じます。

高まり続ける知的好奇心 趣味を楽しむ時間も大切に

 趣味のひとつである茶道を習い始めたのは、もともと焼き物に興味があり、茶碗を知るためには茶道を知らなければと思ったのがきっかけです。茶道は奥が深く、井戸茶碗や三島茶碗が伝来した朝鮮半島のこと、禅のこと等、興味がどんどん広がっていくのがたまらない魅力です。
 茶道では「間」が大事にされます。亭主と客との「間」。この「間」や合理性は、仕事にも通じる大切なものだと思います。
 現在は、社中のお稽古以外に、以前の仕事仲間10人ほどで月釜を楽しんでいます。最初の頃は茶道経験者が2人だけだったのが、12年ほど続けるうちに皆さんお点前ができるようになり、交代でお点前をしては楽しい1日を過ごしています。

社中の皆さんとお茶会 一番右が澄川さん(2014年4月)

 40年近く、大学図書館に勤務し、主に図書館の裏方である学生図書の選書、学術雑誌の契約に携わってきました。退職した今は時間もたっぷりあるため、書店に通い、店頭に並ぶ書籍を眺めるのが楽しみになっています。読書も趣味のひとつで、どこへ行くにもバッグに本を忍ばせ、時間があれば読んでいます。本を読むことで自分の知らない世界に入っていけることが読書の醍醐味です。

 洋裁も趣味のひとつです。結婚前の3年間、夜間に洋裁教室に通い、結婚披露宴のドレスを自作したのですが、昨年そのドレスをほどいて孫のワンピースを作りました。

お孫さんにつくったワンピース。ピンクの方は、澄川さんの結婚披露宴のドレスをリメイクしたもの

 現在は知人から頼まれた和服の反物でチュニックワンピースを作成中です。
 上手くできるかしら?

【澄川 千賀子さんに一問一答】
好きな花: 紫陽花
好きな作家・作品: 山本周五郎『さぶ』他、遠藤周作『沈黙』他、
ジェーン・オースティン『高慢と偏見』
マイブーム: 書道(仮名を始めたばかりです)

澄川 千賀子さんからご紹介いただいた次回の「いけばなじん」は、中川 澄子さん(山形支部)です。研修時の宿泊先が同じだったことから意気投合し、T〜V期を通じて宿泊や食事をご一緒する仲のお二人。中川さんは、近くの山から花材を調達することもあるので植物の出生に詳しく、以前の勤務先の式典等で挿花され、職場の上司からも頼りにされていたそうです。どうぞご期待ください。


←File No.89 いけばなじんトップへ
いけばなじん
いけばな教室訪問記
いけばなこども教室
いけばな特派員

いけばな小原流公式サイト



HOME

プライバシーと著作権について