みんなのいけばな

File No.89

田中 由起子さん 田中 由起子さん 愛知県/名古屋支部

人として母として 尊敬する師の背中を追い続けていきたい

夢中でお花に向き合った日々
理解し支えてくれた家族に感謝

お稽古を始めた頃の師とそのお嬢様という親子二代に渡って師事されている田中さん。二人の師からの助言や人としての生き方に感銘を受けつつ、いけばなの道を邁進して来られました。落ち着いた雰囲気の中に秘めたるいけばなへの情熱を持ちあわせた田中さんにお話を伺いました。

パワフルな青木さんの人柄とお花に触発されて 前進することができました

 青木さんに出会ったのは研修課程U期の終盤です。研修課程は3年以内に全科目に合格しなければなりませんが、私は期間内に修了できずU期の再講が決まっていて、当時は一番辛い時期でした。T期は免除でしたのでいきなりU期から研修課程初受講という状況で、実力もついていかず、緊張した場に慣れるのに時間がかかっていた頃、控え室での席がたまたま近かったことがご縁で自然に青木さんとお話するようになったと記憶しています。青木さんもU期からの受講だったはずなのに、とてもお上手で、いけられたたお花にハッと気づかされることも多く勉強になり、おかげで「一緒に合格できるようがんばろう!」という前向きな気持ちになることができました。
 お仕事と清水支部の幹部としての役割を両立させている努力家で、バイタリティがあり、それでいて気さくで温かく素敵な青木さん。現在は、お互いの地区別教授者研究会や研修士研修会などの内容・結果報告といった情報交換をメールで行っています。さらに清水支部の皆さんと名古屋支部創立80周年記念花展を見に来てくださったり、お勤め先の会社の研修で名古屋にいらした時には夕食をご一緒しながら近況報告や研修時代の懐かしい話をしたりと、良いお付き合いを続けさせていただいています。

いつも励まし勇気づけてくださった恩師 師の言葉を胸にチャレンジし続けて

地区別教授者研究会で初めて参考花
になった作品(2016年8月)

 最初はさほどお花に興味があったわけでもなく、勤務先近くにお教室があるということでなんとなくお稽古に通い始めました。恩師である澤木隆子先生のお教室には終業後に伺っていたので、お稽古が夜の10時になることも多々あり、帰りが一番最後になってしまって片づけをして先生と一緒に帰ったことを思い出します。月4回のお稽古のうち2回ぐらいしか通えていない状態にもかかわらず、先生はとても熱心に教えてくださいました。

 私がお花にのめりこむようになっていったきっかけは、澤木先生のひたむきなご指導と研究会に参加したことです。先生は「上手にいけられなくてもいいから、まわりの素敵なお花を見てきてね。気軽な気持ちでね」と、お稽古に通い始めた頃から研究会への参加を勧めてくださいました。そして、私も研究会に行くたび「もっと上手になりたい」「今度はもっといい点が取れるようにがんばろう」という気持ちになっていきました。
 さらに、澤木先生の「お友達でもいいから誰かにお花を教えなさい」というお言葉も大きかったように思います。習い始めて間もない私が教えられるのか、教えてもいいのかと不安もありましたが、「教えることがとても勉強になるから」と背中を押してくださいました。
 そこで子どもが生後1年を過ぎ落ち着いた2000年頃、当時親子で通っていたスイミングスクールで知り合ったお母様たちに声をかけ、クリスマスリース作りをおこないました。その後、同じ年頃の子どもを持つお母様たちが中心でしたので、子ども連れOKの小原流いけばな教室を開講。お花以外の話にも花が咲き、口コミで人数も少しずつ増加、教室は現在も続いています。教室運営は苦労も多い反面、教えるために勉強せざるを得ない立場になったことが功を奏したのか、今まで成績が振るわなかった地区別教授者研究会で続けて優秀賞をいただけるようになりました。当時はまだ二脇で、実力不足は重々承知していましたが、もっと深く勉強したい気持ちが抑えられず、研修課程U期を受講することにしました。

 実力が追いついていない中、怖いもの見たさで参加した研修課程U期は、最初は知り合いもおらず心細くもありましたが、自然と各地の支部の方たちとお話できるようになり、心が折れることはありませんでした。お稽古では触れたことのないお花、今まで使ったことのない大きな花器、それらを使ってのお稽古漬けの時間。研修課程は私の日常生活ではありえなかった出来事の連続で、名古屋で待ってくれている家族のことも忘れ、夢中でお花と向き合いました。

支部の先生方や同期の仲間たちの支え 親子二代でお世話になった親先生、家族、すべてに感謝

 現在は家の事情で名古屋支部の活動は退いていますが、2009〜2013年まで準幹部を務めさせていただきました。支部長の伊藤慶次先生はじめ、幹部の先生方にとても優しく温かく接していただき、また準幹部として入った同期の方がたくさんいらっしゃったこともあり、私にとってはとても居心地のいい、そして勉強になる場所でした。

名古屋支部創立80周年記念花展 集合写真(2011年10月)

 花展は、年に一度開催される「中日いけばな芸術展」に2度出品、また「みんなの花展」では支部の準幹部を中心に“クリスマス”をイメージした作品を出品したことがあります。
 「名古屋支部創立80周年記念花展」はこれまでに参加した中で一番大きな展覧会で、準幹部15名による大作を出品しました。

「みんなの花展」で準幹部を中心に“クリスマス”をイメージして(2012年12月)

中日いけばな芸術展 出品作品(左:2013年5月、右: 2015年5月)

 私がこれまでお花を続けてこられたのは、家族や先生方の支えがあったからこそ。中でも澤木先生と先生のお嬢様で研究院講師の松浦友香先生には親子二代に渡ってご指導いただきました。松浦先生はいつも温かい言葉をかけ、さりげない心配りができる方で、人としてとても尊敬し憧れています。講師として多忙な生活を送りながらも3人のお子様をもつ母としての役割もこなされている松浦先生。私も少しでも近づけるよう、これからも背中を追いかけていきたいと思っています。
 また、主人がいけばなに関して理解があり、応援してくれていることにも大変感謝しています。仕事から帰宅して花がいけてあると、「やっぱり花が飾ってあると気分がいいね〜」と喜んでくれます。研修課程受講当時4歳だった息子は、その頃から「ママ、お花パチパチ頑張ってね」と応援し、私が留守の時も我慢してくれました。そんな小さかった息子も今や高校生。来年は受験もあり、今まで以上に忙しくなりそうです。家族がこれまで健康で過ごしてこられたことに感謝しつつ、目標に向かって皆が健やかにがんばっていけるよう、できる限りの応援やサポートをしていきたいと思っています。

美術作品や自然の風景に癒される日々 ピアノへの再挑戦も夢見ています

 ずいぶんご無沙汰していますが、子ども時代に習い、音楽教室で作曲の勉強もしていたピアノに、最近ふたたびチャレンジしてみようかと思っています。
 また大学で日本画を専攻していたこともあり、ジャンルを問わず絵画や工芸品などの美術作品鑑賞が好きです。最近は、長野県の上高地を散策したり、岐阜県関市の板取にあるクロード・モネの絵画「睡蓮」に似た“モネの池”を訪れるなど、自然の風景にも癒されています。

上:上高地にて (2016年10月) 下:岐阜県関市板取のモネの池(2016年6月)
【田中 由起子さんに一問一答】
好きな花: 桜、水仙、キンモクセイ
好きな作家・作品: 酒井抱一「桜に小禽図」、
鈴木其一「春秋草木図屏風」、「雪中竹梅小禽図」
マイブーム: アロマテラピー、サラダ(ジャーポットに入れて冷蔵庫に作り置きしています)、 酢しょうが作り

田中 由起子さんからご紹介いただいた次回の「いけばなじん」は、ともに松浦 友香先生に師事されている澄川千賀子さん(名古屋支部)です。勉強熱心なうえに目標に向かってぶれない前向きな方で、いけばなに対する考えの表現方法がとても参考になるとのこと。どうぞご期待ください。


←File No.88 いけばなじんトップへ
いけばなじん
いけばな教室訪問記
いけばなこども教室
いけばな特派員

いけばな小原流公式サイト



HOME

プライバシーと著作権について