みんなのいけばな

File No.88

青木 初衣さん 青木 初衣さん 静岡県/清水支部

たくさんの「良き出逢い」に彩られた人生 好奇心を持ち続け、挑戦し続けて

いけばなを通じて
人とのつながりを紡いでいます

お父様から勧められていけばなを始められた青木さん。尊敬する恩師との出逢いが端緒となって、お稽古や青年部活動、また職場でのサークル設置などに熱心に取り組みながら、「花の輪」をつなげてこられました。興味を持ったことには挑戦し、さらに高みを目指すべく研鑚するバイタリティ。そんな鋭気あふれる青木さんに充実の日々についてお話いただきました。

可憐さと芯の強さを併せ持つ齊藤さん 好奇心旺盛なのは二人の共通点

静岡県華道展出品作品(2011年10月)

 齊藤さんのお顔は県内行事などで存じ上げてはいましたが、初めてお話ししたのは研修課程U期の時です。どちらからともなく挨拶をし、研修の緊張感が漂う中、顔見知りの同県人に不安な気持ちを聞いてもらうことで緊張がほぐれました。当時は2人とも青年部の役員でしたので、青年部活動の情報交換などもしたことを記憶しています。
 齊藤さんは私とは対照的に小柄で、笑顔も話す声も可愛いらしい方。でも、実は芯がしっかりとしていてコツコツと物事に取り組まれる姿勢の持ち主です。そう感じたのは、私が所用でやむなく研修後、考査の講評を拝聴せずに退席しなければならなかった時のこと。後日、齊藤さんからお手紙が届き、中を見るとその時の講評が一覧表にまとめられていました。さらに齊藤さんが感じたポイントも書き加えられており、とても見やすくわかりやすい内容に、齊藤さんの真面目さと優しさ、お気遣いを感じてとても感動しました。
 もう一つの思い出といえば、研修時の空き時間にご一緒した大阪観光です。雰囲気が素敵で美味しいケーキ屋さんがあると耳にしたので、私から齊藤さんをお誘いして出かけました。私は食べることが好きで、話題のものにはチャレンジしたいタイプなのですが、齊藤さんも同じタイプだということで話が弾みました。その後、中之島公園のバラ園を散策し、通天閣に登ったり、新世界の「だるま」で串カツを食べたりと、大阪をたっぷり満喫。お花をいけている時とは違う、明るくお茶目な部分をお互いに確認し合った時間でした。

 それぞれの花展や地区別教授者研究会・県連の勉強会などで年に数回はお目にかかるものの、お互いに仕事も持っており、ゆっくりとお話する機会はなかなか持てませんが、今でもメールで情報交換をするなど、お付き合いを続けています。

いけばなに導かれた恩師や仲間との出逢い 感謝の気持ちをお花にのせて伝えていきたい

 いけばなを始めたのは社会人になってからです。社会人になっていろいろと習い事を経験しましたが、茶華道にはまったく興味がありませんでした。しかし、父から遠縁にあたる青木松代先生の所でお花を習うことを2年越しで勧められ、長く続けるつもりもなく入門。知人から、中には厳しい先生もいらっしゃると聞いていたこともあり、当初は不安な気持ちでお稽古をしていました。ところが、青木先生は必ず良いところを見つけて褒めてくださり、「こうするともっと綺麗になるわよ」と手直しもしてくださいました。褒められて伸びるタイプの私は、徐々に「才能があるのかも?」と勘違いして(笑)、お稽古が楽しくなっていきました。

支部創立35周年記念講習会にて青木松代先生と(右が青木初衣さん 2012年12月)

 研究会に参加し始め、他クラスの作品を見るうちに、もっと上手になりたい欲が出てきて、研修課程へ参加するなど、いつしかどっぷりとお花の世界にはまっていきました。
 周りからは「青木先生と雰囲気が似ている」と言われることがあり、畏れ多いのですが、嬉し恥ずかしい気持ちでいっぱいになります。仕事で行き詰まることがあっても、お稽古に行くとその時は嫌なことを忘れ、花に向き合うことができます。そんな日は、お花をいけた後、不思議なことに先生から「今日は何かあった?」と聞かれるのです。自分ではわからないのですが、いけている時の様子や作品に戸惑いが現れているようでした。私は的を突かれて、その後ただただ先生に悩みを聞いていただいたり相談に乗っていただいたりと、先生は何度も救ってくださいました。いつのまにか、いけばなが私の心の拠り所となっていたのです。

清水支部創立30周年記念花展(左が青木松代先生、右が青木初衣さんの作品 2007年6月)
清水支部創立25周年記念花展 青年部作品
(1080枚のCDをつなぎアンスリウムを
パッチワーク 2002年11月)

 私がいけばなを続けて来られたもう一つの理由に、青年部の仲間との出会いがあります。周年記念花展ごとに青年部作品の制作があり、発案から完成まで目的に向かって皆で多くの時間を過ごしました。
 最も思い出深いのは、2002年の支部創立25周年記念花展での作品です。約1000枚のCDを繋ぎ合わせ、その上にアンスリウムの花をパッチワークするというもので、支部総動員でCDを収集し、集めて裂いた古布でCDを繋ぎ合わせて1枚にした後、パッチワークするという、手間も時間もかかる作業に集中しました。当時、パッチワークを習っていた私は、アンスリウムの花の部分に思いを込めてチクチクと針を通しました。個々の力を結集して完成した作品が会場に飾られると、想像以上に圧巻の出来栄えで、皆が達成感でいっぱいになったのを覚えています。「 2日間の花展期間だけで処分するのはもったいない」と話していたところ、富士吉田支部さんが引き取ってくださり、最終的に富士山温泉ホテル・鐘山苑に飾っていただくことになりました。このような支部間のつながりに感動したことも思い出になっています。
 青年部で作品制作をおこなうたび「造形」への思いが深まり、大量の余り物や廃材を見ると、「何かできないか」と創造力を働かせてしまいます。来年4月には「関東・信越地区青年部作品展」がありますので、新たな知恵を捻出して良い作品を制作したいと思っています。

青年部作品前で青年部メンバーと(後列一番右が青木さん 2007年6月)

 2010年に念願だった会社でのサークルを立ち上げたことも印象深い出来事です。元から池坊さんのサークルはあったのですが、小原流の存在もアピールし、2つの流派から選ぶことができるようになりました。残業のためお稽古時間に時差ができるなど苦労はありますが、お稽古を楽しみにしてもらっていますし、可能な限りみんなの花展にも出瓶をお願いしています。会社では受付に作品を飾らせてもらうのですが、珍しい花材などをいけると目を引くようで、社員の皆様にいけばなに触れ合ってもらう機会をいただいたことに感謝しています。

会社サークルでのお稽古の様子(左から2番目が青木さん 2013年6月)

 2009年12月号『挿花』の「花産地を訪ねて」に掲載していただいたこともうれしい思い出のひとつとして残っています。

「花産地を訪ねて(『挿花』2009年12月号)」

 当初はこれほど長続きすると思わなかったいけばなですが、尊敬する青木先生との出逢いに始まり、研究会、研修、花展など折々の出逢いを通じて自分自身も成長することができ、ここまで続けてくることができました。
 感銘を受ける相田みつを氏のことば「その時の出逢いが人生を根底から変えることがある」(『人間だもの』文化出版局,1984年)が、今まさに私の心に響いてきます。おかげさまで花と離れられない生活となり、毎朝の通勤途中も歩きながら家々の庭に咲く花や樹木の生長を観察し、季節の移り変わりを実感する日々です。今回、いろいろと振り返る機会に接し、思うことは、やはり『出逢い』と『感謝』です。

静岡市華道展出品作品(2013年6月)

アットホームで団結力のある清水支部 子どもたちの発想の豊かさには刺激を受けています

 清水支部は、地域が狭いこともあり、まとまりのあるアットホームな支部です。研究会は毎月開催で年12回あり、「みんなの花展」も年1回開催しています。支部の先生方、仲間とは定期的に顔を合わせるとても近い存在で、大変お世話になっています。青年部活動の時も支部一体となって取り組み、結束力が強いです。
 支部幹部を拝命し、支部発展のため責任ある立場として頑張らなければ…、と感じています。またデパートでの花展に出品する機会も得ることができ、大作をいける取り合わせ、花器選びなどに頭を悩ませながらも、より多くの方に作品を見ていただく機会として、友人知人にアピールしています。

 また、伝統文化こども教室も任せていただいています。毎年、複数の習い事を掛け持ちしながらもお花好きな子どもたちがいけばなの時間を作って参加してくれることに感謝しています。お稽古では子どもたちが意外な発想を連発してくれるので、私も毎回刺激を受けています。

伝統文化いけばなこども教室にて(最後列一番左が青木さん 2015年1月)

いつかは中国語でいけばなを教える日を夢見て 興味があった「第九」にも挑戦!

 私は貿易関係の仕事に携わっています。2007年に会社の研修で中国の上海と杭州を訪れたのですが、その時、現地に赴任中の元同僚が活躍している姿に刺激を受け、「私も中国語を話せたら…」との思いが募り、たまたま友人に紹介された中国語教室に入会しました。
 英会話を習っていた時に「語学の上達は先生との相性の良さが決め手」だと実感したのですが、中国語教室の王川先生との出会いは、私に刺激を与え、考え方を変えるきっかけとなりました。王川先生はパワフルな女性で、教え方も上手く授業が楽しいのです。年齢が近いのでプライベートも意気投合し、今では週末の余暇を一緒に楽しむ親友です。また先生も花がお好きなので、花展に毎回足を運んでくださり、率直な感想を伝えてくださいます。
 中国からの研修生が来日した際、いけばな体験の講師を依頼されました。この時は王川先生が通訳を担当してくださったのですが、中国人の研修生はいけばなに大変興味を持ち、派手な花の取り合わせを好み、初めて剣山にいけた作品にとても喜んでいました。
 先生には以前から「中国語でいけばなを教えられるように頑張って!」と応援されています。そんなレベルまではとても…と諦めていたのですが、最近では小原流も中国進出が活発になり、中国語教本も出版されています。私も少しでも自分の中国語をいけばなに活かせるよう、もっと勉強を頑張りたいという思いが強くなってきています。

中国交換研修生といけばな体験(一番右が王川先生、一番左が青木さん 2012年)

 もう一つの楽しみは合唱です。静岡市では年末に市民参加の「第九演奏会」が開催されているのですが、合唱に参加している中国語教室のメンバーから誘われ、5年前から王川先生と毎年参加しています。もともと興味はあったのですが、中国語教室の仲間との出会いがきっかけとなり、新たな楽しみが増えました。
 合唱には初心者から20年以上の経験者まで約250人が集まり、本番半年前の6月から月2回の練習をおこないます。本番は指揮者のタクトに集中し、オーケストラと混声合唱が一つのハーモニーを奏でるのです。観客席から「ブラボー」のかけ声と盛大な拍手が鳴る瞬間は鳥肌が立ち、達成感と爽快感は最高潮に達して感動を覚えました。1年目はただドイツ語の歌詞とメロディーを把握するだけに終始していましたが、「来年は暗譜できるように…、歌詞を理解して歌うように…」と毎年課題を見つけては続けています。歳を重ねてもずっと音楽に関わっていたいという思いがあるので、声が出る限り合唱は続けるつもりです。

市民による歓喜の歌大演奏会「第九」(2015年12月)
【青木 初衣さんに一問一答】
好きな花: 紫陽花
好きな作家: クロード・モネ
好きな作品: 「睡蓮」
マイブーム: ジャム作り(最近は、いちじくジャムを作りました)
NHK朝の連続ドラマを朝晩見ること(現在は『べっぴんさん』)

青木 初衣さんからご紹介いただいた次回の「いけばなじん」は、田中 由起子さん(名古屋支部)です。研修課程U期がきっかけで知り合った田中さんは、物静かな印象ながら熱心にお花に取り組まれる方。彼女の姿勢には発見や参考になることが多く、これからも大切なお付き合いを続けていきたいとのことです。どうぞご期待ください。


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