みんなのいけばな

File No.77

古宮 才由里さん 古宮 才由里さん 東京都/八丈支部

小原流いけばながもたらせてくれた出会いは すべてが私にとってかけがえのない宝物

人と人のつながりで紹介していくリレー形式の「いけばなじん」

花や人が持つエネルギーが私に力を与えてくれ
そのすばらしさに魅了される日々

お花が好きなお母様やお祖母様の影響を受け、ご自身もいけばなの道へ。
お住まいが変わられても、その先々で小原流とのご縁をつなげてこられた古宮さんは、「花から力をもらっている」のだとおっしゃいます。
恩師を初めとする様々な方への感謝の気持ちと美への探求心についてお話しくださいました。

作品にお人柄が現れている菊池先生 たくさんの思い出が心の糧となっています

 菊池先生とは、平成17年頃、八丈島の同じ職場で勤めたことがご縁で出会いました。
 たまたま先生が職場の机上にいけておられた日本水仙がとても美しく、清々しい気持ちになりました。お花からうかがわれるお人柄に密かに憧れ、まだお話したこともないような間柄でしたが、「この人にお花を学びたい」と思っておりました。その後、このことをきっかけにお声をおかけしたところ、「あら、いやだぁ」と謙遜され、ご自身の恩師である奥山 月娥乃先生を紹介してくださいました。八丈島のフリージアの香り漂ううららかな春の午後に、明るく晴れ晴れするような笑顔と、鈴のように軽やかな口調で気さくに話してくださったことを今も鮮明に覚えています。

「花奏」を土肥先生の新宿のお教室で
(2015年7月)

 菊池先生のことは普段から「亨子先生」とお呼びし、都内でお茶をご一緒したり、八丈島に遊びにいっては近況を報告したりするなど公私ともに本当に大切にしていただいています。現在は、私が東京都内に引っ越したため、以前のように頻繁にお目にかかることはできませんが、友達や家族に亨子先生の話をすると、妹には「お姉ちゃんちょっと甘えすぎじゃない?」とたしなめられたこともあるほどです。
 八丈島で暮らしていた頃は、嬉しいことや辛いことをともに喜んだり、乗り越えてくださったりしました。体調を崩した時にはお弁当を、時間ができると郷土料理を教えてくださるなど、数え切れないほどの思い出があります。それが、今の私の糧になり、いけばなや仕事などあらゆることの原動力となっています。

母や祖母の影響で始めたいけばなのお稽古 導いてくださった先生に心から感謝の日々

「花奏」を異なる花の取り合わせで
(2015年7月)

 いけばなを始めたのは、生まれ育った福島県です。花が好きな母や祖母の影響が強く、「お花を習いたい」とひとこと言うとすぐに父が先生を見つけてきてくれました。お教室では、妹や素敵なお仲間と一緒に基礎からしっかりと教えていただきました。その後、私が上京したため、皆さんとともに学び続けることはできませんでしたが、転勤する先々で必ず小原流の方に出会ってはお教室に誘っていただき、現在の活動に繋がっています。

 今は、新宿の土肥 久栄先生のお教室で学んでいます。和気藹々とした雰囲気に包まれたお教室で居心地がよく、時折八丈島の月娥乃先生や亨子先生のお話なども出されます。土肥先生は季節の花の取り合わせや花の顔の見せ方など、表現の多様さや可能性を私たちに説き、小原流いけばなの魅力を伝えてくださいます。私にとって小原流の先生方や仲間など、お花を通じて出会った方々すべてがかけがえのない存在であり、宝物のように感じています。

金曜の夜、土肥先生のお教室にて(2015年11月)

 私は仕事柄たくさんの人に出会います。大きな喜びややり甲斐を感じる一方で、忙しくて疲れることもあり、金曜夜の週に一度のお稽古も体力的に厳しくて休みたくなることがあります。しかし、不思議なことにお稽古を終えると元気になっている自分に気づかされました。ある日、そのことを土肥先生にお伝えしたところ、「お花の力ね」とニッコリ微笑みながら喜んでくださいました。確かに花の力は大きく、豊かな色・清々しく華やかな香り・美しい形状などが、見事なバランスで形づくられた時の感動は言うまでもなく、「お花にパワーをもらっているのだな」とつくづく感じます。
 さらに、それに気づくことができたのは、土肥先生のおかげです。明るく溌剌としたお声と凛としたお姿で、真摯な眼差しとお手元を携えながら、どんなお花も慈しみ、私の話を大切に受け止め、お花の魅力やいけばなの技術を教えてくださる、そんな先生のお力添えがあったからこそと、本当に感謝しています。お教室で心ある方々と情趣に富んだ美しい作品に心を満たされながら、お花の縁を繋いでくれた亨子先生のおおらかで温かい笑顔が時折思い出されます。
 いけばなのお稽古を続けてきて良かったこととして、さまざまなお花や挿法を知ることができたことは言うまでもありませんが、お花を通じて人と知り合い、その美しさを共有し、楽しくお付き合いができた喜びを欠かすことはできません。

お教室にて「ならぶかたち」。レウカデンドロン、ガーベラ、ヒペリカム、ドラセナ・ゴッドセフィアーナ(2015年11月)
社中の作品「自由表現」でこくわ蔓を(2015年11月)

私にとっての支部とは 豊かな可能性を持つ学びの場です

 私が現在在籍する東京支部は、大正13年に創立された全国初の支部で、最多の会員数を誇ります。毎月おこなわれる月例研究会のほか、花展や講習会なども内容が充実しており、さまざまな立場の方が楽しく熱心にお花を学んでいます。優秀な先生方も数多くおられ、華やかで豊かな可能性を持つ、学びや発見の多い支部です。
 2015年7月、新宿島屋でおこなわれた東京支部花展に出瓶した際には、たくさんの知人友人が足を運んでくれました。お忙しくて中々お目にかかる機会を持てなかった方がわざわざチケットをお求めになってお越しくださったこともありがたく、今日の励みとなっています。

小原流創流120周年東京支部いけばな小原流展(すずかぜ)の一日、新宿島屋にて(2015年7月)
小原流創流120周年東京支部いけばな小原流展
(すずかぜ)の一日「花奏」(2015年7月)

 八丈島では、月娥乃先生にご教授いただいて年に1度の花展に出瓶し、南国らしく珍しいお花を楽しみました。東京支部においても積極的に花展に参加させていただき、経験・知識を深めていきたいと思っています。

いけばな・絵画・書道 美しいものに接する時間が至福のひととき

 美術館を訪れることは趣味の1つです。さまざまな作品を鑑賞することとは別に、建物の美しさに圧倒されたり、館内を歩く人も美術館と一体化した美術品のように感じたりします。本当に楽しい発見です。美しい庭園があれば、所蔵品よりもお庭を眺めている時間の方が長いということもありました。美術館に身を置くと、窓から見える雲や飛び立つ小鳥などでさえ1枚の枠に切り取られた絵画のように美しく、見入ってしまいます。

一面の菜の花畑で、母と妹と子どもたちと(2015年5月)

 また、書道教室を開いている妹の影響もあるのか、いつのまにか書も好きになりました。以前、同じ職場に大きな展覧会に出品するほどの方がおられ、招待券をいただいては、作品を拝見する機会に何度もめぐまれました。難しいことはわかりませんが、作品をじっと見ていると余白・空間の美しさにハッとさせられ、運筆に書き手の意図や作品を生み出すエネルギーを感じます。字の意味や形よりも筆の運びに魅かれることもあります。
 絵画・彫刻・書などを鑑賞していると、時々、他の方が小声でお話になっているのが聞こえてくることがあります。お行儀は悪いですが、その内容がまた私に至福のひとときをもたらせてくれます。

母の鉢植え「金の成る木」。毎年花を咲かせます(2015年3月)
【古宮 才由里さんに一問一答】
好きな花: シンビジウム、ばら
好きな作家: 江國香織、藤田嗣治
好きな作品: どの作品も好きで、しみじみします。
マイブーム: 人のつながりを広げることです。

お花だけではなく、学生時代の友人や仕事で知り合った人とよく語り、ともに学びます。時々大笑いしては「私たち恥ずかしいね」と言いながら街中を大股で歩く。結構お気に入りの時間です。

八丈島の喫茶店にて、島で知り合った友人と(2010年3月)

古宮 才由里さんからご紹介いただいた次回の「いけばなじん」は、神田 涼子さん(倉吉支部)です。土肥先生の教室で一緒に学んだお仲間で、いつも慎ましさと礼儀正しさをそなえ、女性らしい品の良さを持ち、仕事・家事を両立させながらお稽古にも熱心に取り組まれている努力家とのことです。どうぞご期待ください。


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