みんなのいけばな

File No.74

砂田 鵬華さん 砂田 鵬華さん 山梨県/山梨支部

いけばなとの出合いが 私の人生を深みのあるものにしてくれました

人と人のつながりで紹介していくリレー形式の「いけばなじん」

お稽古ごととは「生きる姿勢を学ぶこと」である

砂田さんがいけばなを始められたきっかけは、お父様が日々お見かけする小原 豊喜先生のお姿に感銘を受け、娘にもその姿勢を学ばせたいとお稽古を勧められたからだそうですが、その後、地道な努力を続けられ、お稽古ごととしての域を超え、いまや山梨支部を支える立場にまでなられました。情熱あふれる砂田さんに、いけばなへの思いをご家族とのエピソードを交えお話しいただきました。

いつもキラキラと輝かれている船橋先生 常に尊敬の念を抱き続けています


国民文化祭 出瓶作品(2013年10月)

 船橋先生とは、盛岡支部・小原 豊喜先生にご紹介いただき、おつきあいを始めさせていただきました。幹部時代より、研修や行事などあちらこちらでご一緒させていただきましたが、「完成された優等生」という感じでいつもキラキラしておられ、尊敬しております。

 花歴・実年齢とも約20年も先輩でいらっしゃいますが、いつも同じ目線・同じ立場でおつきあいしていただいていることに深く感謝しています。支部長としても魅力的な船橋先生に学ぶべく、青森支部造形展をお訪ねするうちに、私の生徒も出品させていただくようになるなど親交は、私だけでなくどんどん広がっています。

父が引き合わせてくれた恩師 技術だけでなく生きる姿勢を学びました


山梨県華道協会展 出瓶作品(2015年4月)

 実家は、岩手県の田舎町の商店街で商売をしておりましたが、その店先を、雨の日も風の日も雪の日も、どんなに足元が悪くても決まった時間にお稽古場から次のお稽古場へ楚々としたいでたちで出向かれ、店先を通るたび、丁寧にあいさつをしてくださる小原 豊喜先生の姿に父が感動し、「あの方にお花を習うと良いのではないか。」と高校時代に言われたのが小原流と出合うきっかけでした。“お稽古ごととは、生きる姿勢を学ぶこと。技術だけでなく、師の姿から感じなさい”ということだったのでしょう。結婚を機に岩手を離れ、山梨に嫁いだ後も、生涯の師として先生とは今もお付き合いをさせていただいていますが、長い年月の中で、先生は私に学びの場だけではなく、数々のチャンスも与えてくださいました。

 小原先生と私を引き合わせてくれた父は、自宅でお花をいけてもそれに対し感想などを言うことは一度もありませんでしたが、私には、心のよりどころであり、ずっと大きな支えでした。残念ながら病気のため2015年3月に他界しましたが、病床で創流120周年記念花展に出展させていただいた私の作品の写真を見ながら「立派になったな」と笑顔で安堵した表情を浮かべていたと聞き、「すべてを受け止め・受け入れてくれる人の存在が、人を育ててくれるのだな」としみじみと感じました。

 現在、私は、地元の中学・高校でもいけばなを教えていますが、いけばながなければ繋がりを持つこともなかったような若い世代の方から「先生」と呼んでもらえるのは本当にありがたいことで、卒業後、年月が経っても「先生、先生」と慕ってくれ、成人式・就職と一人一人の人生に関われることを嬉しく思います。
 若かりし頃、お姑さんが、「“学んで身についたこと”はお金で買えるものではないから、いけばなは続けなさい」と言われたことがありましたが、今日では、「将来、年をとってもお花を通じて皆さんが集まってくださりそうでありがたいね」と喜んでくれ、私もまったくその通りだと実感しています。


自宅教室でのお稽古のようす(2015年)

出瓶は1回1回が真剣勝負 支部周年行事の準備を既に始めています

 自分が習う立場の時は、先生についていくことで高いハードルも乗り越えてこられましたが、教える立場になると思いもしなかった気苦労に遭遇することもあります。たとえば、おかげさまで生徒が増え続けるというありがたい状況の一方で、人数が増えたことにより、一人一人の生徒との関係がどうしても希薄になってしまい、もどかしさを感じ、師とは、楽しいながらも苦もあるものだと悩むこともありますが、そんな時に先輩の先生方からお知恵を拝借し、私なりに方法を模索し、乗り越えられたときの嬉しさは、言うまでもありません。


山梨県芸術祭 出瓶作品(左2014年10月・右2014年11月)

山梨県華道協会展 迎え花(2015年4月)

 いけ手としての自分に関しては、以前は、「幹部として指名されたのだからとにかく出瓶することが役目!」という考えの時もありましたが、ある時、「私の代表作ってなんだろう?」とふと思い、遅まきながらそれからは「1回1回が勝負なのだからもっと真摯に向き合わなければ!」と考え、以来、スポーツの試合に臨むのと同じように毎回ドキドキした気持ちでお花をいけるようになりました。
 山梨支部は役員も会員も平均年齢が若く、私も“フットワーク軽く!”を心がけ、青春時代と同じように悩みつつ、成長中だと思っています。2016年3月21日支部創立65周年行事を予定しており、目標に向かい、目下、支部一丸となって取り組んでいます。

家に帰るとペットたちがお出迎え 動物から教えられることもたくさんあります

 動物が好きで、自宅ではプードル犬やベンガル猫を飼っていますが、彼らにはいつも癒され、また教えられることがたくさんあります。たとえば彼らはおねだりもしますが、基本は受け身。人を指導する立場にある人はそうあるべきだと教えてくれているのかなと日々学びつつ、彼らの嫌がるところをなでて遊ぶのが楽しみでもあります(笑)。また、私の帰りがどんなに遅くても必ず待っていてくれる2匹を見ては、「この姿勢は見習わなければ」と反省しています。

 今から約30年前、岩手にいらっしゃった四世家元 夏樹先生と入門間もない学生の私がたまたまお話する機会に恵まれ「これからは女性も仕事を持ちながら、結婚・子育てもする時代が来るだろうから、一生懸命勉強をして、いけばなも続けてください。」とおっしゃいました。その時は「えっ!?」と思いましたが、あれから月日が流れ、夏樹先生のおっしゃっていたとおりの時代となりあらためて先見の明だったのだなと感じています。
 実際に、仕事を持ち、結婚し、子育てをしながらお花を習いつつ教えるということは、想像以上に大変で、萎えてしまいそうなことも何度もありましたが、あの日の夏樹先生のお言葉が私の財産となり今日まで歩んでくることができたと思っています。
 平成24年より大役の山梨支部 支部長を拝命いたしましたが、とても務まらないとお断りしようと思っている私に「中々できることではないから皆様のお役にたつよう精いっぱいやってみなさい」と助言してくれた主人、いつも笑顔で支えてくださる理事長、ならびに関邦明先生にこの場をお借りしてお礼を申しあげるとともに、この先も私らしく歩んでいきたいと思っています。

【砂田 鵬華さんに一問一答】
好きな花:
栽培中ですが、先日、育て方の間違いを指摘されたばかりです。
好きな作家: 小西 陶藏 先生(陶芸家・備前焼)
好きな作品: 蓮を模した作品
マイブーム: 大谷 翔平 選手(日本ハム。故郷・岩手出身のヒーローです!)

砂田 鵬華さんからご紹介いただいた次回の「いけばなじん」は、芦沢 逸子さん(富士支部)です。砂田先生の現在の師・関 邦明先生のお教室で出会い、同時期に支部長になったことからも、“同期の桜”と思い、心の支えにさせていただいています。会うたびいつも、手早く美味しいお料理でもてなしていただき感謝していますとのことです。どうぞご期待ください。


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