みんなのいけばな

File No.65

谷川 博雲さん 谷川 博雲さん 兵庫県/大阪支部

「かたちをつくる」 創造の世界に、無限の魅力と喜びを感じます

人と人のつながりで紹介していくリレー形式の「いけばなじん」

一生懸命向き合うことで、人並みでなく、人よりできる自分になれる
それが自信となり、さらなる成長につながると信じています

中学のクラブ活動がきっかけで始まった谷川さんのいけばなの道。
尊敬する師や先輩、無二の親友との出会いを糧に、一歩一歩着実に進んでこられました。
支部幹部を退任された今、あらためていけばなに対する思いをうかがうとともに、ご趣味や新たなライフワークについてのお話などもお聞かせいただきました。

「かわいい」から「パワフル」へ  印象が変わるほどの頼もしい存在

 稲田先生との出会いは1992年、私が大阪支部役員になった時の役員総会の席上でした。その時は、言葉を交わすことはなく、ただ「かわいい人だな」とだけ思っていましたが、その後、稲田先生が研修士となられ、また大阪支部・副支部長としてご活躍され、支部仲間として一緒に行動するうちに親しくなっていきました。

 伊丹市のいけばな協会の一員としても活動されていますが、何年か前にご自宅で開催された社中展は稲田先生らしい華やかで素敵な花展だったことを今でもはっきり覚えています。印象も、最初の「かわいい」から、「素敵でパワフル」へと大きく成長されたと感じています。

 昨年までは支部役員として月2回はお目にかかったりしていましたが、お互い忙しく、私的な交流の機会は減っていましたので、ともに役員を無事退任した今、また以前のように、個人的に有馬温泉などに出かけたりする機会も増えるかなと楽しみにしています。

いけばなとの出合いは中学校のクラブ活動 2人の先生と2人の友人に感謝

 「友人が入部したので私も」という単純な理由から中学校で始めたいけばなでしたが、3年生の時、弟の小学校の担任の先生が小原流を教えていらっしゃると誘われ、そちらでもお稽古をすることになりました。クラブと習い事、2人のほめ上手な先生のご指導のおかげで、いけばなを続けることができたと思っています。
 大学卒業後、中学校で教えていただいていた嵯峨豊敏先生のご自宅にお稽古に通うことになりました。当時、嵯峨先生が大阪北支部・副支部長だったことがきっかけで、青年部一期生を、そしてその後は部員として研究会のお手伝いもさせていただきました。
 また、その頃出会った2人の友人に誘われて研修課程T期を受講、後に研究院講師にもなることができました。研究会や研修で思うようにいけられず、講師になってからは仕事でお花をいけることが怖いと感じることもありましたが、それでも今日までいけばなをやめたいと思ったことが一度もないのは、一生懸命に頑張れば自分が持っている以上のものができ、苦労が楽しみや喜びに変わる、ということを身をもって体験できたからかもしれません。あらためて、嵯峨先生、そして2人の親友に感謝の意を表したいと思います。


研修課程に誘ってくれた2人の親友と
3人で一緒に頑張っていた頃です。
(右から、冨士崎良さん・私・(故)小林満土宜さん)

富士吉田支部での研究会指導(2013年)

体験教室の様子(2012年)

伝統ある母校の華道部を指導する日々 競技会で成長する生徒たちに感動

 母校、雲雀丘学園華道部の指導は、嵯峨豊敏先生から上田豊葉先生へ、そして私へと受け継がれてきました。母校で指導ができるのは、この上なくうれしいことです。のんびりしていた校風もこの何年間で進学校となり、生徒たちは毎日遅くまで授業を受けたあと、塾や習い事にと忙しいようですが、今年からは遅くまで授業のない曜日に活動日を変更するなど、とにかく続けてもらうためにできる限り生徒に合わせて対応するようにしています。指導では少しの時間でも花を手にして“いける楽しさ”を教え、作品の良いところを褒めるように心がけています。
 日ごろの指導は決して厳しくはないと思いますが、「学生いけばな競技会の下稽古の時だけ先生が怖くなる」と生徒たちが冗談半分に言っています。私が彼女たちに伝えたいのは、「何でも良いから、人並みでなく、人よりもできることを一つ持ちなさい。それがきっと自信となり、さらなる成長につながるから」ということです。
 競技会では、しっかりとお花に向き合い、日ごろ繰り返しお稽古をすることにより、誰にでも賞を獲るチャンスがあり、また、賞をいただければ自信にもなります。
 以前、消極的で自分に自信の持てない生徒が「家元賞」をいただいたことがありました。何度も繰り返し下稽古をしていましたが、その時は家元賞をいただけるなど誰もが予想をしておらず、その驚きと感動は今でも強く心に残っています。また、受賞により、その生徒が卒業までの半年間で目に見えて変わり、「人生が大きく変わるほどの出来事だったんですね」と顧問の先生と話したことを覚えています。


雲雀丘学園華道部の部員たちと記念撮影

 学生たちに負けないように、私自身も花展などへの出品に挑戦し続けています。2007〜2012年までは、「産経新聞女性いけばな作家展」にチーフとして。「マイ・イケ」では1993年にK氏賞、2007年にFK氏賞、AK氏賞、2008年にはFK氏賞をいただきました。2015年4月には川西市郷土館で第3回社中展も開催する予定です。


女性いけばな作家展(2009年)

マイ・イケバナ「FK氏賞」「AK氏賞」受賞(2007年)

マイ・イケバナ「FK氏賞」受賞(2008年)

編み物にもいけばなにも 「かたちをつくる」という共通の喜びがあります

 子どもの頃から手芸や編み物が好きで、機械編みを習ったり、本を見ながら我流で手編みの作品を作ってきました。近年はいけばな優先の生活を送っていましたが、少し時間に余裕ができましたので、また手編みを少しずつ始めています。ひと針ひと針編み上げて「かたちをつくる」編み物は、何かを集めて「かたちをつくる」ことの多い私の造形作品づくりに共通しているように思うと同時に、どちらも完成した時は同じような達成感と喜びを感じることができます。

 また、マイブームといえば「花を育てる」こと。我が家の庭は雑草がはびこり、自然すぎて、まるで野原のようですが、今夏、山野草を育てている同級生宅のお庭を見せてもらい、素敵だなと思っていたら、後日、山紫陽花や山芍薬、黒蝋梅、春咲きの秋明菊など、珍しい花を届けてくれましたので、雑草と戦いながら庭に植え、来年の春を待ち遠しく思っています。ほかにも、挿し芽で育てた雲竜柳、石化柳、枝垂れ柳、きいちごなどが育っており、作品作りにも活躍してくれています。道行く人が「きれいね」と言ってくださったり、近所の小学生が覗いていってくれることもあります。これから時間をかけて花の種類を増やしながら、日本の植物を中心とした「和の庭づくり」を楽しみたいと思います。


産経新聞掲載「庭のぎぼうしを使って」(2003年)

庭のコスモス、えのころ草を使って
(「挿花」掲載 2005年)
庭の雲龍柳を使って(「挿花」掲載 2008年)

 さて、大阪支部は2015年、創立105年を迎え、11月6〜9日には記念花展を開催予定です。大阪支部は団結力が強く、吉田豊貞支部長のもと、皆で頑張っています。今年から名誉幹部の仲間入りをさせていただき、先日、名誉幹部会に初めて出席いたしましたが、先輩の先生方のパワーには本当に圧倒されました。90歳を超えて尚お元気な大先輩の先生方の頭の回転の速さや、おしゃれな装いにはただただ感心し、心より尊敬の念を抱くとともに、この方々が今までの、そして現在の大阪支部を支えておられるのだと感じ入り、同じ支部で活動させていただけることをあらためて誇りに思いました。


社中の皆と大阪支部新年初会にて(2012年)
【谷川 博雲さんに一問一答】
好きな花: どくだみの白い花
好きな作家: 金子みすゞ
好きな作品: 『土』『星とたんぽぽ』
マイブーム: 花を育てること

谷川 博雲さんからご紹介いただいた次回の「いけばなじん」は、藤川 明美さん(大阪支部)です。大阪支部役員として知り合い、学校連盟にも加入している大阪青山大学で華道授業の助手をご一緒したことからさらに親しくなりました。真面目で人への気配りや思いやりにあふれ、最も信頼できる後輩とのことです。どうぞご期待ください。


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