みんなのいけばな

File No.47

天野 良枝さん 天野 良枝さん 広島県/広島西支部

自然の中で草花と語らいながら湧き出る思いをいけばなに込める喜びを感じます

人と人のつながりで紹介していくリレー形式の「いけばなじん」。

 小学生の時、叔母さんのお稽古について行ったお花の世界にたちまち魅了され、現在までいけばなの道を歩んでこられた天野さん。ご主人の転勤に伴っての渡米や子育てとの両立など、折々の転機を迎えながらも、さまざまなことにチャレンジをし続ける天野さんのポジティブ人生をうかがってみました。

誠実で笑顔が魅力的な宮脇さん 共通の知人の存在で親しみが深まりました


広島いけばな代表作家展(2006年10月)

 2009年の8月、研修課程T期の控室で初めてお会いしたのが宮脇藤薫さんでした。テーブルが近かったこともあり、どちらからともなく話かけて親しくなりました。ほほ笑まれた時の白い歯が本当に魅力的で、控えめで誠実、そのうえ真面目に物事に立ち向かわれている姿には学ばせていただくところがたくさんあります。
 東京、広島とお互い遠距離で普段はなかなかお会いできず、現在はメールで連絡を取り合う程度のおつきあいですが、お会いした時にはビールを飲みながらおしゃべりを楽しみます。昨年、お家元の個展の際に久しぶりに再会でき、お花の話題はもちろんプライベートなことまでたくさん語り合いました。その中で偶然共通の知人の話になったのですが、私と主人も尊敬している方だっただけになおさらうれしく、以来、宮脇さんとのおつきあいもますます深まったような気がしています。

できあがるいけばなの過程に感激 結婚後も子連れで研究会に参加しました

 小学生の時、叔母のいけばなのお稽古について行ったことがお花を始めるきっかけとなりました。ビニール風呂敷に広げられた枝ものや花を先生が1本1本剣山に挿していかれ、美しい作品ができあがっていく過程を見て感激したのです。
 家に帰って母にいけばなを習いたいと申したのですが、3歳から習っていた日本舞踊のお稽古があるので「高校に入ってから」と言われてしまい、中学卒業と同時に、ようやく花屋さんで教えておられた荒川豊佳先生の教室へ通うことになったのです。先輩方のいけられる作品や花材が珍しく、目にも新鮮で楽しいものですから、お稽古はいつも最後まで拝見し、お掃除のお手伝いもして帰るような日々でした。荒川先生にはその後、結婚・出産を経て主人が転勤するまでお世話になりました。

 転勤先の北九州では古川津代子先生に師事しました。まだ4歳だった長男を連れてのお稽古でしたが、いつも優しく迎えてくださいました。1年後には2人目も出産しましたが、その2カ月後にはお稽古を再開していました。今でも懐かしく思い出されるのは研究会です。当日、主人の仕事が入っている時には2人の子ども連れで出席しましたので、一番後ろの席になるよう最後に受付をしたものです。長男にはピクニックシートを敷いて絵本を読んだりミニカーで遊ばせたり、長女はベビーカーに寝かせたり…。そのような状況でも勉強を続けられたのは、北九州支部の先生方の温かい思いやりがあったからこそと、今更ながら感謝しています。

 さらに3年後には海外赴任に伴って渡米し、クリーブランドでイングリット・リューダース先生のお教室へも一度行かせていただきました。帰国後の5〜6年間はお稽古をお休みしましたが、広島に戻って生活も落ち着いたころ、3度目のお稽古再開。もう一度、荒川先生に教えを乞いました。さらに8年前からは大阪の教場へ通わせていただき、難波佳代子先生、奥村秀水先生、益田英二先生にもご指導をいただいています。

花材を集め、会話しつつ育てる楽しみも… たちまち作品の主人公として輝き始めます


自宅医院(スカイクリニック)のお正月花
水引を習っている姉に玉を作ってもらい、柳につけま
した。いつもエントランスには季節を通して色々な花を
入れています(2011年1月)

 生でないもので花材になりそうなものは普段から集めていますが、花展の1カ月ぐらい前からは根のついた葉物で気に入ったものを購入し、花と会話しながら育てています。また、いけてみたい花材がある時は、知人の山や畑、お庭などに出向き、植物を切らせていただくこともあります。そんな周囲の協力のもと、ようやく一つの作品が完成するわけですから、いけあがった時は自分だけでなく、提供してくださった方々と喜びを分かち合えることを心から嬉しく思っています。

 2012年秋の「みんなの花展」では、以前拾っておいていた椰子の葉のつけ根を使ってみました。色が抜けていた部分は同じ色の靴クリームを使って磨くとピカピカになり、たちまち作品の主人公に大変身。そんなふうに右往左往しながら、作品がやっと思い通りの形になった時は「いけばなを続けてきてよかったなぁ」と心から思える、まさに至福のひとときです。


広島西支部「みんなの花展」出品作品(2012年10月)

 私が所属する広島西支部は、田部豊悦支部長を中心に若い幹部の先生方もみなさん精力的で、とても活気がある支部です。私も支部の幹部として6年間お手伝いしてきましたが、今期は家庭の事情でお休みしています。そんな時期にこの「いけばなじん」に出させていただくことにちょっぴり心が痛みますが、これを機に広島西支部の存在をアピールできれば嬉しく思います。



広島西支部30周年記念花展にて(2009年3月)
下:名誉幹部の先生方の作品
上:仲良し4人組で廣田聡先生を囲んで(左から2番目が天野さん)

植物ウォッチングやクッキング 心と体で四季の移ろいを楽しんでいます


広島・帝釈峡にて山吹草と(2013年5月)

 自然の中でいきいきと育つ花を見たり、時にはその香りを楽しむ植物ウォッチングに季節を通して出かけています。先月は愛媛県へ「エヒメアヤメ」や「ムサシアブミ」の自生地を訪ねました。写景盛花をいける時には見てきた情景を思い描くことができますし、野山散策には足腰を鍛える効果もありますので、体力が続く限り参加していきたいと思っています。

 いけばなのほかに、料理でも四季を楽しんでいます。2月、無農薬の伊予柑でピールや牛タンの塩漬けを作るのが恒例行事です。4月には裏山で筍をとり、すぐにゆでて親戚や知人におすそ分けします。また木の芽を摘んで佃煮を作ります。5月は知人のお母様が育てられたイチゴ(無農薬)を摘み、1年分のジャムにします。6月は主人の友人が丹精こめられた梅でシロップを作り、10月は栗で渋皮煮、11〜12月は手作りのピールを入れて毎年20本ぐらいシュトーレンを焼き、小学校の時にお世話になった担任の先生方にもプレゼントしています。 パン作りももう28年ぐらい続けており、季節感たっぷりの食を味わいながら、1年が巡っていくようです。


ペルーで現地の子どもたちと(2013年5月)

 主人とはよく旅行も楽しみます。ボリビアではウユニ塩湖を見てきたのですが、なんとホテルもすべて塩でできていました。フロントに無造作に飾られていた造花が気になったので、許可をいただいていけ直しをさせていただきました。


ボリビア、ウユニのルナサラダホテルにて(2013年5月)

広島西支部「みんなの花展」生徒作品(2012年10月)

 また、利尻のホテルではいけばなをいけていた壺が素晴らしく、お尋ねしたところ、ホテル会長の作とのこと。なんとご自宅まで案内してくださり、私にも作品をプレゼントしてくださったのです。その壺は、2012年秋の「みんなの花展」で生徒が花舞をいけてご披露することができました。

 忙しい日々の中で、美術館にも足繁く通っています。一人でゆっくり過ごせる貴重な時間です。以前、国立美術館で俵屋宗達・尾形光琳・酒井抱一の『風神雷神図屏風』が一堂に会して展示されたのを見た時には感激のあまり身体が震えたのを憶えています。

 このように、自然や芸術に日々感動し、尊敬する先生方や先輩方の中で素晴らしい作品に触れることに喜びを感じながらお稽古させていただいておりますが、これまでいけばなを続けてこられたのは、何より家族の理解があったからこそ。特に義母から結婚当初より「やめなさんなよ、続けなさいよ!」と言ってもらえたことで今日まで来られたように思います。荒川先生が結婚披露宴で「お花のお稽古を続けさせてあげてください」と言ってくださったことも心に残っています。これからも周囲のお力添えをいただきながら、私なりにいけばなの道に精進していきたいと思います。


【天野 良枝さんに一問一答】

広島いけばな代表作家展(2009年10月)
  • 好きな花/ジャカランタ、ジャーマンアイリス、イングリッシュローズ
  • 好きな画家/熊谷守一、小倉遊亀、千住博、モネ
  • マイブーム/毎月購読しいている挿花の読者アンケートの読者プレゼントに応募し、美術館の招待券をいただくこと。

天野 良枝さんからご紹介いただいた次回の「いけばなじん」は、山本 晶子さん(豊橋支部)です。研修課程T期、U期でご一緒し、仲良くさせていただきました。長身でとてもお綺麗ですが、気取らずあっさりしたお人柄で、何よりもお花のお勉強に熱心な方だということです。どうぞご期待ください。


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