みんなのいけばな

File No.44

田渕 静雪さん 田渕 静雪さん 静岡県/浜松支部

「静」の中に「動」の情熱を秘めたいけばな 子育て世代の生徒さんにこそ、楽しくいけばなを続けてほしいと願います

人と人のつながりで紹介していくリレー形式の「いけばなじん」。

 学生時代、軽い気持ちではじめたいけばなの世界で、人生の師とも呼べる先生と出会い、活躍の場を次々と広げてこられた田渕さん。主婦・子育て・仕事・いけばなといくつもの事をこなしながら、充実した生活を送られている田渕さんに、恩師の教えに通じるいけばなへの思いなどを語っていただきました。

研修の朝に声をかけてくださった藤野さん その後の花の世界も広げてくださいました

 平成22年研修課程T期。初日の朝、ホテルのラウンジで声をかけてくださったのが藤野さんでした。朝食をご一緒させていただいたのがきっかけとなり、お付き合いが始まりました。藤野さんには「何となく小原オーラが出ていたので、声をかけました」と言われましたが、当の本人は研修初日の期待と不安でコチコチになっていたところを藤野さんから声をかけていただき、緊張がほぐれたことを覚えています。

 藤野さんの第一印象は「明るくて場を和ませてくれる方」です。研修中にも藤野さんを介して素晴らしい仲間と知り合うことができたり、張りつめた空気の中、無事に研修を終えられたのも藤野さんのおかげだと感謝しています。私にとってこの時出会えた仲間が一生の宝となっています。花の世界、人生観が広がった貴重な体験でした。

 藤野さんは北海道、私は本州ど真ん中の浜松と住む場所が離れているので、なかなかお会いする機会は持てませんが、お電話や年賀状で近況報告や情報交換をしています。研修で再会した時は、まるで同窓会のような気持ちになり、うれしくなってしまいました。

人生の師でもあった故・鶴田雪葉先生 いけばなだけでなくさまざまなことを学びました

 いけばなは学生時代にお遊び程度で習っていただけでしたが、結婚後、同居を始めた主人の母から「家にお花があるといいね」と言われたのがきっかけとなり、あらためて習い始めることになりました。嫁いだ先は、私の実家の隣の市でしたが土地勘がなく、どこで習って良いのかわからなかったので、近くの公民館で開いていた花のサークルに入りましたが、そこを指導なさっていた故・鶴田雪葉先生に自宅教室をすすめていただき、本格的に小原流を習うことになりました。偶然にも実家の母も小原流を習っていたと知ったのは後になってからのことです。

 当時は子どもが幼稚園入園前で、先生のお宅へは子連れで通わせて頂いていました。私が花をいけている間、先生は子どもに本を読んだりお絵かきをしてくださったりしました。もう少し大きくなると、お稽古の途中に子どものスイミングの送り迎えに行かせていただいこともあります。先生には、二級脇になるまでご指導いただきましたが、いけ花だけでなく人生の先輩として、子育てのアドバイスやいろいろな悩みを聞いていただきましたので、ご病気になられお亡くなりになった時は、本当に悲しく、つらかったことを今でも鮮明におぼえています。


故・鶴田雪葉先生の社中にて(1999年)

 その後は同じ社中でいらっしゃった相曽千雅先生のもとで、引き続き勉強をさせていただいています。当初は先生が変わることに不安を感じていましたが、一つひとつ丁寧な指導をしていただいたおかげで、ますます花が楽しくなりました。
 生前、鶴田先生から「人に教えると自分も上達しますよ」とご進言いただいていたのですが、当時職場でいけていた私の花をいつも見ていた後輩3人から「お花を教えてください」と頼まれたのを機に、自宅で教室を開くようになりました。主婦・子育て・仕事に加え、花の先生と、いくつものわらじをはく生活が始まり忙しい日々でしたが、時間を上手に使い、生活を工夫することを覚えましたし、花を通じて広がった生活や人間関係のおかげで少しも苦には感じませんでした。子育て等で悩んだりした時も先生や仲間のアドバイスが大きな支えになりましたし、むしろ、花をいけることがストレス解消になったぐらいです。私の生徒さんの中にも子育て真っ最中の人が何人もいます。そんな時は、私が先生にしていただいたように、お稽古の時間を工夫したり、生徒さんの悩みを聞くなど、子育てしながらも楽しくお稽古を続けられるように協力し、いけばなを長く続けてもらえるようにと心がけています。




自宅教室で生徒さんたちと(2013年2月)

支部幹部の一人として先輩方に学ぶ一方で子どもたちへの指導にも力を入れています


中日いけばな芸術展(2011年6月 遠鉄百貨店)

 2001年より中日いけばな展実行委員会・中日新聞東海本社主催の中日いけばな展に出展させていただいています。「今年はどんな花器でどんな作品にしようか」と悩んだり、会期中も花材の調達や準備に走り回る等々、毎年反省ばかりしていますが、会期が終わると安堵とともに達成感が味わえることもまた魅力のひとつです。

 また、一昨年には支部展の実行委員となり、先輩の幹部先生についていろいろと教えていただきながら、運営に携わりました。皆さんの手際のよさや工夫を目の当たりにし、本当によい勉強になりました。一方で、自分の作品と生徒の作品を同時にいくつも考え、指導していくことは大変でしたが、そこでもまたいろいろな経験をすることができました。


浜松支部新年会にて相曽社中の皆さんと(2011年1月)

 昨年、浜松支部は創立55周年を迎えることができました。11月に記念花展、今年2月3日には記念式典を開催しました。幹部の一員としてこのような行事に参加させていただいたことに大きな喜びを感じ、この経験を今後に生かしていきたいと思います。また幹部として、毎月行われる研究会の準備等、運営の仕事のほか、2010年から伝統文化いけばなこども教室も生徒さんに手伝ってもらいながら運営しています。私の担当している浜松市東南地区では、毎月1回、自宅近くの市の公共施設をお借りした教室に小学1年生〜6年生までの子どもたちが通ってきます。毎年、支部展や地域の文化祭に参加することが子どもたちにとって大きな励みになっているようですし、また支部創立記念の花展に参加し、ご家族やお友達など、大勢の人たちに作品を見ていただけたことは、子どもたちにとって何よりもよい思い出となりました。

こども教室にて(2010年7月)

浜松支部支部展みんなの花展「こども教室の生徒さんの作品」(2011年5月 天神蔵ギャラリー)

「静」のいけばなと「動」のヨガ 互いに逆の魅力を持っているのではないでしょうか

 大学時代、静(心)の活動として華道を、動(体)の活動としてヨガを始めました。ヨガは汗をたくさん出して体を動かす運動とは違い、体の歪みを治してバランスを整え、深い呼吸法を通じて心を平静にし、無の世界で心をリラックスさせると思います。静かにゆっくりとした自分だけの時間が流れる中、体をほぐしリラックスできるところが魅力であるという意味では、ヨガはむしろ「静」の活動で、いけばなは、何時間も無心に花と向き合いつつも体はハードに使う「動」の活動だと思うようになりました。最近はいけばなの方が中心になり、なかなかヨガ教室に通えませんが、夜寝る前や疲れを感じた時、神経が高ぶった時などにヨガで体をほぐすと、リラックスができます。

 いずれにしても、この2つの静と動の活動は、車の両輪のように、私にとってかけがえのないものとなっており、これからも生活の中でバランスよくつきあっていきたいと思っています。


浜松支部支部展みんなの花展 出品作品(2011年5月 天神蔵ギャラリー)
【田渕 静雪さんに一問一答】
  • 好きな花/梅の花(特に白梅)
  • 好きな小説家/奥田英朗
  • おすすめの本/『イン・ザ・プール』
  • マイブーム/自宅教室のリフォーム

田渕 静雪さんからご紹介いただいた次回の「いけばなじん」は、加茂 清一さん(横浜支部)です。研修T課程の初日に、藤野さんを通じて知り合い、ご出身が同じ浜松市ということで、より親しみを感じられました。基本に忠実で無駄のないきれいな花をいける方だということです。どうぞご期待ください。


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