みんなのいけばな

File No.43

藤野 豊千さん 藤野 豊千さん 北海道/旭川支部

人と人との出会いからいけばなを続けて30年 大切なのは、1つのことを長く続けていくことです

人と人のつながりで紹介していくリレー形式の「いけばなじん」。

 ご実家の菓子店のショーウィンドウを飾るいけばな。そこから、藤野さんのいけばな人生は始まります。中学1年生で親先生と出会い、お仲間との交流を育みながら、現在では旭川支部の幹部として活躍するまでになりました。中学生にいけばなの素晴らしさを伝える役目も担いつつ、周囲の仲間への感謝を忘れない藤野さんに、いけばなへの思いをお話しいただきました。

研修課程T期で知り合った福田さん 年下なのにしっかり、でも優しい癒し系


北海道いけばな百人展
(札幌東急百貨店 2011年4月)

 福田さんとは、平成22年の研修課程T期の初日、そこで気のあった人たちと食事に行った際に初めてお話ししました。彼女のお母様がお花の先生だとお聞きし、恵まれた環境でお花を習っておられることをうらやましく、また私よりもお若いのにしっかり者だなあという印象を受けました。一方で、福田さんは真面目な顔をしてサラッと楽しいことをおっしゃいます。研修課程という緊張した空気の中、私の心をずいぶんほぐしてもらいました。

 私は北海道、福田さんは宮城ですので、現在はメールや電話で近況報告をしあっています。東日本大震災後の研修でお会いした時、「地震のため1年ほど瓶花ができなかった」とお聞きしました。それでも、彼女のお花はとにかくきれいで、参考花の札が立っていました。余震など不安な日々が続く中でもひたむきに続けてきた彼女の努力を感じさせてくれる作品でした。

いけばなとの出合いは中学1年生のとき センス抜群の親先生につき学んできました

 私の実家は菓子店を営んでいて、ショーウィンドウにお花をいけていただいていたのですが、中学1年生のころ、お店にいらしたその先生から「やってみない?」と勧められたのが、いけばなを始めるきっかけとなり、ショーウィンドウに飾られる花が、いつのまにか私の作品になっていったことを懐かしく思い出します。


阿部先生と私の作品の前で(2011年4月)

 親先生である阿部先生は、お花の取り合わせがモダンです。油絵もお描きになりますし、ファッションやおうちのインテリア、器の一つに至るまでセンス抜群で、素敵な先生です。いろいろなことをそばで勉強させていただけて幸せです。阿部先生の教室にいらっしゃる生徒さんはベテランの方々ばかり。習い始めのころ、写景や投げ入れをいけておられる先輩方を見て、「いつか私もこんなふうにお花をいけていきたい」と強く思っていました。専門教授者になる時も先生や周りの方々が私の背中を押してくださいました。あれから30年以上もお花を続けてこられたのは、いうまでもなく、先生や一緒に学んできた皆さんとの楽しい時間があったからだと感謝しています。


阿部先生の社中の皆さんと(2012年12月)

旭川支部の幹部、稚内部会の運営係として活動 遠くから集まる会員も真剣に花と向き合っています


稚内市3派合同いけばな展

 現在、私は旭川支部の幹部としてお仕事をさせていただいています。また旭川支部の中に稚内部会があり、準備や会計などその研究会の運営をしています。年2回の研究会には毎回約50名もの方が出席してくださいます。広い北海道のこと、会員の住まいは広範囲にわたっていますが、旭川支部研究会へも長時間かけて出席しています。かくいう私も、片道4時間かけ、毎回車で参加していますが、それだけの時間をかけて集まるのですから、楽しみであるのはもちろんのこと皆さんそれは真剣に取り組んでいます。
 地元の稚内では、年に一度、秋に3派合同(小原流・池坊・東池坊)の花展が開催され、私も阿部先生とともに毎回出瓶しています。そのほか、数年に一度は稚内部会の花展に出瓶します。

ふとした偶然から中学校でも指導 いけばなは子どもの心にも良い影響を与えます

 週に一度自宅で教室を開いているほか、銀行やお店など、頼まれればどこへでも行ってお花をいけさせていただいています。また近くの稚内南中学校へ華道部の講師としてうかがっています。きっかけは、娘の家庭訪問でした。担任の先生が玄関の花をご覧になり、「うちの校長はお花が大好きなんです」とお聞きした数日後にご本人とお会いする機会に恵まれました。この中学校は、かつて荒れていたことがありましたが、地域のボランティアの方々が花をいけてくださったことから華道部ができました。普段は悪さをする生徒たちも花には一切いたずらをしなかったそうです。やがて華道部は学校を飛び出し、市役所や空港、JRの駅などで自らボランティアを買って出てお花をいけていたそうですが、その後自然消滅し、なくなってから7年が過ぎたころ私が再開させていただくことになりました。1年目は生徒の目につく場所にお花を飾るだけでしたが、翌年、お花をいけたいという生徒さんが13名集まり、学校からの活動費も出ることとなり、秋には文化発表会でお花を展示することもできました。校長先生は、校長室新聞の中で、そんな私の活動を文章にしてくださいました。ふとした偶然から始まったものが広がりを見せていきます。私にとっても貴重な場所となり、本当にありがたいと思っています。


中学3年生の合同作品「まわるかたち」

中学校での指導風景
「南中ソーラン」という踊りで有名な稚内南中学校
稚内南中学校は全国の学校、団体で取り入れられている「南中ソーラン」という踊りで有名な学校です。『父ちゃんの海』という映画のモデルにもなった学校で、その作中にもこの「南中ソーラン」が登場します


 物事を始めるきっかけは、案外簡単なところにあると思います。思いに勢いがあれば、たとえ試行錯誤しながらでも頑張ることができるでしょう。何より大切なのは、一つのことを長く続けることだと思っています。私はこれからも大好きな小原流の花を1人でも多くの方々に知っていただけるよう、地道に活動を続けていきたいと思っています。

【藤野 豊千さんに一問一答】
  • 好きな花/エゾノリュウキンカ
  • 好きな小説家/池井戸 潤
  • おすすめの本/『鉄の骨』『空飛ぶタイヤ』
  • マイブーム/ヨガ、特に岩盤浴でのホットヨガは頭も体もスッキリです。

藤野 豊千さんからご紹介いただいた次回の「いけばなじん」は、田渕静子さん(浜松支部)です。研修課程T期に参加した際、宿泊先のホテルで思わず声をかけたほど“小原流オーラ”を強く感じた方で、勉強熱心でいつも真剣、それでいて聞き上手。仲間の中では落ち着いたお姉さん的存在だということです。どうぞご期待ください。


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