みんなのいけばな

File No.40

安原 芳里さん 安原 芳里さん 岡山県/倉敷支部

恩師からいただいた言葉「継続は力なり」を胸に、さらに明日へ。

人と人のつながりで紹介していくリレー形式の「いけばなじん」。

 お母様からすすめられ、多くのお稽古事の一つとしていけばなと出逢った安原さん。倉敷アイビースクエアではジャンルの異なる作家とも交流、結婚・子育ての中で、今は子どもたちに絵本の読み聞かせ活動をしながらいけばなへの挑戦を続けています。支部幹部としての経験を重ねつつ、真摯に花と向き合う安原さんの日々を語っていただきました。

まるでタカラジェンヌのような井上先生。実はお互いに共通点も多いことを知りました。

 井上先生と初めてお会いしたのは、研修課程のT期でした。小原流研修会館2階の待合室で、最初はご挨拶からだったと思いますが、1日目、2日目とご一緒するうち、「次の時間の花材は何でしょうね?」なんてお話ししたかもしれません。とにかくお上手な先生という印象でした。
 実は今初めてお話ししますが、ショートヘアがお似合いの井上先生に、私は内心、宝塚歌劇団の男役みたいだなと思っていました。とても美人な方ですし。研修課程U期で再会した時も、井上先生の変わらないお姿はやはりタカラジェンヌ。また、学校の先生のような話し方をされる方だなとも思っていましたが、実際に美術の先生だと知り、私の認識は正しかったのだと思いました。

 現在は大阪の教場で同じ研修生として、花材のことなどいろいろなご相談に乗っていただいたり、写真を送っていただいたり、お世話になっています。先日は、金沢支部の花展にお誘いし、お仲間の先生方と小旅行もしてきました。花展周辺で伝統工芸品の記念館を見学したとき、目を輝かせて説明してくださる井上先生に、一瞬、美術の先生と修学旅行に来た生徒のような気分になりました。
 最近では高校生の母≠ニいう共通点もわかりました。お互い仕事と子どものある生活、花と小原流幹部という部分で、頑張るエッセンスになっているのだと思います。


金沢支部の花展見学の際、兼六園にて(右端が井上豊陽さん、左端が安原芳里さん 2012年6月)

いけばなは母がすすめたお稽古事の一つ。いつも難しい方の道を選んできました。

 就職と同時に、茶道・華道・お料理教室、洋裁教室に通うようにと母から勧められました。そして、洋裁教室のお友達からのご紹介で小原流倉敷支部の副支部長をなさっていた播磨豊道先生に教えていただくことになりました。若い時はさまざまなことに頑張れるもので、当時は、仕事しながら家庭教師もし、倉敷アイビースクエアにある工房の方々とも茶道を通じて交流していました。そのうち、ギャラリーでの留守番アルバイトやワークショップのお手伝いなどもさせていただき、さまざまなジャンルの工芸作家さんから刺激を受けることができました。以後、現在に至るまで、作家さんたちとの友人関係は続いており、今や私の生活の一部となっています。


播磨豊道先生を囲む会(2009年7月ホテル日航倉敷にて社中の皆さんと。 前列右端が安原さん)

 さまざまなお稽古ごとのうち、お花だけは結婚後も続けていたのですが、子どもが産まれるとやはり生活環境が一変しました。こんなことではお花もどうなるかわからないと不安を抱いていたとき、心に響いたのは親先生がいつもおっしゃっていた言葉。それは「継続は力なり」で、今も常に投げかけてくださいます。ちょうどお免状をいただき、研究会にも出席できるようになったころでもありました。「やめるのは簡単だけど、続けるのは難しい」と思いながらもいつも難しい方を選択してきてよかったと思っています。三級となってからは、地区別教授者研究会にも参加できるようになり、一級家元教授となった今も継続中です。

 播磨先生のご紹介で、家元教場での難波佳代子先生のご指導をいただけるようにな り、今までとまた違った姿勢で花に向かうようになりました。
 支部においても、今まで諸先生方が頑張ってこられた姿勢について、改めてうかがう ことができました。微力ではありますが、私もこれから何かのお役に立てればと思っ ています。


倉敷市展への出品作(2012年9月)

倉敷支部の仕事といけばなの勉強と。来る中国地区野外展に向けても準備中です。

砥部焼で修業された荒井広明氏(碧窯)の作品に
挿花(第50回岡山県華道展に出品 2012年2月)


倉敷支部青年部設立17周年記念作品(制作途中)
この針金の中に入って編んでいると大きな鳥かご
の中にいる気分に…

 研修課程以降、春と秋には社中展のお手伝いを通じて勉強させていただくチャンスをいただいています。また、教授者になってからは9月の市展や2月の県展にも出瓶しています。ここでアイビースクエア時代に購入した陶芸家の作品を活躍させることも、私の楽しみです。

 準幹部から幹部へとお声がかかった平成22年、5月に倉敷支部創立30周年の記念花展があり、準備や花材合わせ、芯組みなど、お手伝いも初めて体験しました。青年部設立17周年でもあり、造形作品作りでは、ご指導いただいた小原流研究院助教授の原豊喜先生が持っておられるイメージを膨らませて、青年部のみんなでこつこつと作業をしました。製作はじめ、ご協力いただいたすべての先生方とこの達成感を共有できたことを本当にうれしく思い、感謝しています。花展ではまだまだ新米でいろいろ失敗もありますが、その都度勉強だと思っています。

 支部では、会計の補佐、支部の文書作成や花展のパンフレット、ハガキDM作成と印刷を担当しています。研究会では当日の受付係、野外展では青年部副部長も兼任し、部長と力を合わせながら取り組んでいるところです。
 平成25年の第3回中国地区青年部野外展は岡山県開催が決定しており、今年1月には、岡山県連会長の山田桂圃先生ご指導のもと、県下4支部長、青年部長、副部長が一堂に会し、実行委員会が立ち上げられました。10月は中国5県17支部から各県連会長・支部長の先生方、青年部のメンバーの総勢90名をお迎えしての開催地視察会を行いました。最初は緊張でガチガチだった青年部も会を重ねるごとにアットホームな雰囲気になってきて、メールのやり取り等、連携プレーも整ってきています。残念だったのは、研修課程と重なり、第2回青年部展当日に参加できなかったこと。第3回にはぜひ自分の作品も出したいと思っておりますし、まずは倉敷支部として青年部員による参加型の造形作品に挑戦しようと思っています。


倉敷支部青年部設立17周年記念作品「ビッグエッグ」
 作成途中、どうやって、この曲線を出していくか。均等にカーブが出るだろうか。骨組みの段階で何度も何度もぶつかる壁。
 その度、青年部のみんなで知恵を出し合い、やっと完成にこぎつけた瞬間は、それはそれは感無量でした。
 そして、だんだんとお披露目のその日が近づく。みんなで取り組んだことで、青年部の本来あるべき姿になった瞬間かもしれません。
 達成感をみんなが感じた瞬間です。

絵本の読み聞かせやお弁当ブログにも挑戦。そこでの学びをいけばなにも生かしていきます。


上:小学校での読み聞かせにて(2008年6月)
下左:大好きな『まさ夢いちじく』(クリス・ヴァン・
オールズバーグ作)。オールズバーグの本には
映画化された『ポーラー・エクスプレス』『ジュマンジ』
『ザ・スーラー』などがあり、大人の絵本だったり
もします。
下右:月1回、0〜3歳向けの読み聞かせも。
その参考本です

 いけばなとは別に、子どもが小学4年生の時から絵本の読み聞かせを始めました。もう8年になりますが、多いところでは年間30回活動する小学校もあります。科学ものや季節のお話、高学年には難しい文学作品、卒業間近にはメッセージを込めたものなど、学年の理解度に合った内容を選びます。実際読むときには役者になった気分で、子どもたちとアイコンタクトをとりつつ、本の登場人物になりきります。本好きで集中力のある子どもに育ってほしい、という願いから始めた読み聞かせでしたが、実は読み手も子どもたちからいっぱいの元気をもらっているのです。


「お弁当ブログ」からの1枚

 また、子どものお弁当作りを機に4年前から「お弁当ブログ」を立ち上げ、作ったお弁当を記録しています。いろいろな方のブログを訪問し、緑と赤が入るとお弁当が美味しそうに見えることがわかり、美的センスは色にあると感じました。そうこうするうち写真の撮り方やアングルなどにも興味を持ち、今では植物や自然現象も撮影するように。いつか『小原流挿花』にも応募してみたいと思います。


撮影作品「冬の空」

 実のところ、専門教授者になってまだ2年目です。今は青年部野外展や研修に専念しており、定期的な教室は子どもが大学生になる1年半後から予定しています。また、マイイケバナにも出品したい気持ちも大切に育てており、素敵な作品を通じて素材を見つけ、自分なりに発信できればと思います。まずは第3回中国地区青年部野外展を大成功させたいですね。

【安原 芳里さんに一問一答】
  • 好きな花/秋桜と香りの強いオールド・ローズ系のバラ
  • 好きな小説家、作家/原田マハ
  • 好きな音楽/大橋トリオ、土岐麻子、シューマンの曲はすべて好きです。
  • おすすめの本/マハさんは『本日は、お日柄もよく』をすすめます。私には人の心をつかむ話し方のバイブルとなっています。
  • マイブーム/10分間で掃除機をかけてしまうこと。3月から飼育しているウーパールーパーの水槽の掃除(水替え)とえさをあげること。

安原芳里さんからご紹介いただいた次回の「いけばなじん」は、阿部潤一朗さん(仙台支部)です。ピンとした姿勢と誠実なお人柄。どんなことにも一生懸命で、支部の研究会でもご活躍されていました。東日本大震災の後、研修課程U期での再会では涙が出るほどうれしかったとのことです。どうぞご期待ください。

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