みんなのいけばな

File No.34

樋口 豊汎さん 樋口 豊汎さん 兵庫県/姫路支部

「静と動」。一見相反するようで互いを引き合う魅力。
いけばなから始まった好奇心で、これからもカラダと心を磨いていきたい。

人と人のつながりで紹介していくリレー形式の「いけばなじん」。

 持ち前のバイタリティでいけばなと真摯に向き合ってきた樋口さん。生徒さんの作品からも学ぼうとする一方、テニスや水彩画など、一見「いけばな」から遠く思われる事柄にもとことん挑戦しています。樋口さんの原動力となった小原流いけばなとの出合いや趣味の魅力について、様々なお話をうかがってきました。

会うたびにチャーミングな横山さん。
支部でのご指導では本当に感動しました。


好古園春のいけばな展出品作品(4名合作)(2010年)

 横山さんとは、2007年9月に開催された神戸ビエンナーレのお手伝いをした深江作業場で初めてお会いしました。姫路支部からは1人の参加で、心細かった私に横山さんが声をかけてくださり、ホッとしたことを覚えています。2人で手直し当番を終えた帰りに、喫茶店でコーヒーを飲みながら長い時間いろいろなお話しをしました。お花の話からプライベートな話題まで花が咲き、楽しくて時間を忘れるほどでした。長いようで短かった4日間でした。
 横山さんの最初の印象は「女神様のような方」。穏やかでいつもニコニコされていて、優しい口調で丁寧にお話しされます。何事にも早く気づかれて行動されるのには本当に感心してしまいます。慣れてくると少しとぼけたところも面白く、チャーミングな方だとわかりました。
 個人的には最近なかなかお会いできませんが、花展会場などではお目にかかる機会もあり、うれしく思っています。姫路支部で45周年記念の花展を催した時は、ご夫婦で来てくださいました。また、支部研究会でご指導いただいたときは、本当に感動しました。これからもお越しいただく機会は多いと思いますので、楽しみにしています。


好古園春のいけばな展出品作品(4名合作)(2010年)

「人に教えるためには10倍前へ」
生徒さんの作品からも学んでいます。


地区別教授者研究会作品(2006年)

 高校時代、1年ほど他流を習っていたのですが、そのときは特に好きにならず、すぐにやめてしまいました。その後もたびたび母が勧めるので、二十歳でまたいけばなのお稽古を再開。友人の紹介で福本豊泰先生の教室にお世話になりました。友人の存在と福本先生のお人柄でお稽古が楽しく、どんどんお花やいけばなが好きになっていきました。結局、友人はお花をやめてしまい、私の方が続いているのだから、なんだか不思議な気持ちです。
 「人を教えるには、その人の10倍以上前を進んでいなければいけないよ」 これは、ある方からいただいた助言で、その言葉で研修を受けることを決心しました。その頃から戸田豊清先生にも大変お世話になり、先生のおかげで研修を修了することができたと思っています。研修中は花とゆっくり向き合え、様々な人たちと知り合え、大変有意義な時間を過ごせました。地区別教授者研究会にも参加していましたが、一連の研修は私のいけばな人生において、大変役立ったように思います。研修を受ける前は思うような成績が取れませんでしたが、研修を受けてからは結果も出るようになり、我ながら驚いたものです。瓶花で初めて95点をいただいたときは本当にびっくりするとともに、とてもうれしかったのを覚えています。


いけばな新進作家展出品作品(2005年)

 自分で教室を開いたのは26年前。きっかけは、主人の従姉妹とその友人を教えたことでした。その後、友人が加わり、口コミや紹介などで多くの生徒さんたちと出会うことができました。
 教室では、花の見つめ方、取り扱い方などいろいろな面で気をつけています。また、生徒さん一人ひとりの個性を大切にすることを心がけています。生徒さんの花を手直しするときにハッとすることもたびたびあり、教えることで生徒さんからも学ばせてもらっているんだなと日々感じています。
 生徒の皆さんとは、バーベキューやクリスマスパーティなど、お稽古以外にも楽しい行事を行っています。カニすきツアーはもう6年続いているでしょうか。昨年のクリスマスには、生徒さんたちからプレゼントもいただきました。美しく花で飾られた額の中に一人ずつ感謝の言葉が書いてあるというものです。その言葉を読み返すたびに感動で涙があふれてきます。疲れたときや落ち込んだときに眺めては元気をもらっています。
 今年、生徒さんが自分のお店でミニ花展を開催したのですが、教室の皆も出品し、私もお手伝いさせていただきました。実は自分の社中展よりドキドキしました。生徒さんの花に対する思いや意欲を大切にしてあげたいと思っています。
自分の創作活動としては、いけばな新進作家展に7年ほど出品させていただきました。2回目からはクッション材と金網を使って作品を考えていきました。そんなふうに1つの材料を変化させていくのは楽しみな反面、思うようにならないことも多々あります。細かな作業に時間がかかり、肩凝りがひどくて困ったり…。生みの苦しみと完成の喜びは造形の中にあるのかもしれません。
 支部の准幹部を12年、幹部を9年務めています。「みんなの花展」では、事前準備から会場設営、いけ込み後の片付けまで大変ですが、皆さんの協力のおかげで毎年素敵な花展を続けられています。毎回お褒めの言葉もたくさんいただき、とてもうれしく思っています。

いけばな新進作家展出品作品(2009年)

試合ごとに仲間との絆が深まるテニス。
お稽古には「楽しい」が大切だと実感します。


クラブで試合中(2012年4月)

 いけばな以外で打ち込んでいるのが、テニスです。始めて13年になりますが、きっかけは2000年を迎えるにあたって何か始めたいと思ったこと。1999年5月に、友人を誘って近くにあるテニスクラブに入会しました。実は、20代のときママさんバレーをしていたのですが、足の怪我をきっかけに運動もやめてしまい、ちょっと太り気味になっていたのもテニスを始めたきっかけです。インドアのクラブなので、日焼けせず、エアコンが効いているのもなかなか快適です(笑)。
 最初は思うように打てませんが、少しずつでも打てるようになると楽しくて、もっと上手になりたいと一生懸命レッスンしました。最初のコーチにテニスの楽しさを教えてもらえたのもいいモチベーションになりました。「楽しい」と思えることは習い事には大切ですね。
 それに、お花の世界とはまた違った友達がたくさんできたのも収穫です。テニスは年齢・性別・職業を問わず、ネットをはさんで楽しめるのが魅力の1つ。違うジャンルの仲間と知り合えたことで、人生の宝物が増えた気がします。

 試合にもペアを組んで出場しました。ペアを組む友人とは絆が深くなり、結んだ信頼は人生の勉強の一つになります。地方の小さな大会でも優勝できたときはうれしくて、もっと上手になりたいと真剣に思いました。
 テニスの腕はまだまだで、うまくいかないと落ち込むこともありますが、仲間たちに負けないようついていきたいと思います。その中には私より年長の方もたくさんいらっしゃいますので励みになります。少しでも時間があればテニスで汗を流す生活なので、運動不足とは無縁です。筋力も衰える年齢になってきましたが、頑張れるところまではやりたいですね。今は試合に出る機会も減っていますが、時間があればまた挑戦したいと思っています。


試合でペアを組んだ友人と(左側が樋口さん)(2012年4月)

「静」と「動」どちらに魅力はあります。
肩の力を抜いて、いつかスケッチブックの旅を。

 最近、水彩画も始めました。テニス仲間やコーチの中に水彩画を描いている人がいて、以前から興味があったので、教えていただくことになったのですが、油彩や日本画より手軽なところがいいですね。透明感やどこかはかなげな所も魅力です。
 いけばなと水彩画はどこか似ていると思います。先生は「植物、たとえばりんごの向こう側の面も描けるように」とおっしゃいますが、それはいけばなでは写景と共通していると思いました。写景は作品の向こうに景観が続いているようにいけることだと教わったからです。


最近描いた水彩画の作品

兵庫県いけばな展出品作品(2006年2月)

 また、テニスといけばなは相反していると思う方が多いかもしれませんが、私にはそうは思いません。いけばなには「静」だけでなく「動」の要素もあると思いますし、テニスにはある面で「静」もあるからです。それは頭の中。常に冷静でいなければテニスは強くなれないと思います。
 また、テニス・水彩画・いけばなに共通していることは、リラックスが大事だということ。力を抜いて花をいける、リラックスして素材と向き合う、力を入れるといい花は入りませんし、ボールも飛ばないのです。
 水彩画は習い始めたばかりなのですが、私色の作品を目指しています。静物を写実的に描く練習をしていますが、そろそろ風景画の勉強も始めようと思っています。スケッチブックを持って風景画を描く旅行に行ってみたいですし、テニスは夫婦共通の趣味なので、2人仲良くミックスダブルスを組んで楽しみたいと思っています。余分な力を抜きつつ、これからもいろいろな目標に向かっていきたいです。


【樋口 豊汎さんに一問一答】
  • 好きな花/貝母百合
  • 好きな小説家/五木寛之
  • おすすめの本/『親鸞』
  • マイブーム/福山雅治さん(2009年にコンサートに行ったのがきっかけです。特に『道標』が大好き)

樋口豊汎さんからご紹介いただいた次回の「いけばなじん」は、間ア千奈美さん(松山支部)です。穏やかで優しいお人柄ながら、数多くの専門教授者を育てておられるだけあって、頼れるみんなのお母さん的存在、とのことです。どうぞご期待ください。

←File No.33 いけばなじんトップへ
いけばなじん
いけばな教室訪問記
いけばなこども教室
いけばな特派員
いけばな小原流公式サイト



HOME

プライバシーと著作権について