みんなのいけばな

File No.33

横山 豊鈴さん 横山 豊鈴さん 大阪府/大阪支部

花と出合い、人に出会えた喜びに感謝。技術だけではないプラスαのいけばなを伝えていきたいと思います。

人と人のつながりで紹介していくリレー形式の「いけばなじん」。

どんなお稽古事も続かなかったのに、いけばなだけは仕事の後でも喜んで通われたという横山豊鈴さん。その喜びが、さまざまな出来事を乗り越える原動力になりました。教授者として生徒さんとの信頼関係を結びつつ、作家としては花材にこだわりながら新しいチャレンジを続けておられる横山さんの、いけばなにかける思いをお話しいただきました。

京女の奥ゆかしさと関西人のノリの良さ。
努力家で魅力いっぱいの高鍬さんです。


咲いた、咲いた、さくら展への出品作品
(そごう心斎橋本店 2009年3月)

 2009年1月、凛花スクールの第1回スタッフミーティングの日、初めて高鍬さんとお会いしました。その時はごあいさつを交わした程度でしたが、月ごとの花材取り合せの担当をご一緒したことをきっかけにお話をするようになり、その後はスクールやミーティングでお会いするたびにお話をする機会を重ねてきました。
  凛花講師の中では最年少ということもあり、とても緊張なさっているようにお見受けしました。大きな瞳が印象的な大人しい方だと思いました。何度かお会いするうちに、京女らしい(?)奥ゆかしく古風な一面と関西人ならではのノリの良さをあわせ持つ楽しい方と印象が変わっていきました。ユニークな切り口も魅力的です。そして、何事にも真面目に取り組む努力家だと思います。
 私は2011年3月で凛花を卒業しましたので、お会いする機会は少なくなりました。メールでお互いの近況報告をしたり、同じ近畿圏ということで種々の花展でお会いするなどしています。花展で偶然お会いするといううれしい驚きも何度かあり、不思議なご縁を感じます。今はお互い忙しくて、ゆっくりお話しする機会をもてないのが残念です。

「お花が好き」という思いで始めたいけばな。
季節のお花を手にできることが幸せでした。


『昼ショップ 買物検討使』での挿花
(関西テレビ 2005年5月)

 いけばなを始めたのは特に大きなきっかけがあったわけではありません。とにかく「お花が好き」という思いが一番だったと思います。ごく自然にいけばなに興味を持ち、お稽古に通い始めました。いけばなを習っていた母や姉からの影響も大きかったと思います。
 家にはいつも花がありました。庭先には花壇があり、フェンスに淡いクリーム色のつるバラやフクシア、ゼラニウムなどの明るい色が映えていました。今でも大好きな花々です。そして、室内にも四季折々の花が飾られていました。
 仕事帰りにお稽古に通っていたのですが、さまざまな花に出合うことが楽しみで、お稽古の日は残業にならないよう必死に仕事に取り組みました。
 お稽古ごとはどれもあまり長続きしなかった私が唯一続いたのがいけばなでした。並行して5年ほどフラワーアレンジメントも習っていましたが、やはり惹かれたのはいけばなの世界でした。先輩の先生方がいけていらしたお花に見惚れ、後に同じような花材を手にして、いけることができた時の感動! また、その季節にしか入手できない花材を手にした時の喜びはひとしおです。
 どちらかといえば消極的で人前に出るのが苦手な私が、今このような立場で活動できているのは、ご指導いただいた先生方、支えてくださった先輩、友人たちのおかげです。そして何より、理解ある家族に感謝しています。

トゲトゲのカラタチと悪戦苦闘したことなど、出品作品には思い出がたくさんあります。

 これまで、花展や造形展に、さまざまな作品を出品してきました。マイ・イケバナには何度か出品させていただいています。思いがけず賞をいただいた作品はどれも思い出深いのですが、賞には届かなかった作品の中にも心に残っている作品があります。マイ・イケバナ2008に出品したカラタチを使った作品です。カラタチのトゲトゲの形態と質感に魅かれて、大きくてフワフワのクッションのようなものを作りたいと思い、傷だらけになって制作しました。「カラタチはまだまだ展開できます」というお言葉をいただきましたので、いつかその答えを見つけたいと思っています。


マイ・イケバナ出品作品(2008年7月)

 2007年のビエンナーレは、コンテナの中に作品を展示するというユニークな試みでした。10月とはいえ、天気の良い日はコンテナ内はうだるような暑さ。メリケンパークという海辺の環境は砂とホコリとの闘いでもありましたので、水盤の水をきれいに保つのが大変でした。


ビエンナーレ2009プレイベント神戸大丸にて記念写真 横山さんは後列左から4番目(2009年9月)

 ホテルオークラ神戸での展示も大変勉強になりました。3ヵ月に1作品、季節を意識しながら、3ヵ月そのままではなく少しずつ変化をつけるということで、大阪支部の長瀬豊枝先生と2人で担当させていただきました。搬入や設置はなるべくお客様の少ない平日を心がけましたが、スポーツクラブやレストランへの通路でもあったため、作業中に通りがかりの方にお声をかけていただいたり、レストランへの道順を聞かれたり。初めてのことだらけで、苦労したことも今では良い思い出です。


ホテルオークラ神戸の展示花(2007年10月)

 産経新聞に掲載していただいた作品は、知人の蓮池から蓮の葉をいただき、何度も試行錯誤しました。
 2004年の新進いけばな作家展に出品した作品が、同年10月に奈良県立美術館のモネ展会場内に展示されたことも思い出深いですね。この作品は「キューブ」を作りたいという思いから形になりました。後にマイ・イケバナで特別賞をいただいた作品の元になった作品です。私の一番好きな画家はモネ。その偶然にも心が震えました。


産経新聞に掲載された作品(2011年7月)

奈良県立美術館モネ展での展示作品(2004年10月)

いけばな新進作家展への出品作品(2007年8月)

指導は生徒さん個々人の「顔」を見ながら。押しつけず技術プラスαの伝承を大切にしています。


自宅教室でのお稽古の様子(2012年3月)

 教授者としての仕事は、ご指導いただいている難波 佳代子先生の教場の助手としてお手伝いをさせていただいたことに始まり、凛花スクール、自宅教室、企業の華道サークルの講師などです。季節のお花を楽しみたい方、家に飾る花が欲しい方、支部研究会に参加する方など、目的も環境もさまざまな生徒さん個々人のお顔をしっかり見て指導をするように心がけてきました。桃の節句やクリスマス、お正月など、季節ごとの行事のお花は必ず取り入れています。


自宅教室でお正月花のお稽古(2010年12月)

 大切なのは思いを押しつけるのではなく、さまざまなやりとりの中でお互いの信頼関係を深めることではないでしょうか。自分が行ってきて良かったと思えることは言葉を尽くしておすすめしますし、お手直しは生徒さんのいけたお花の良さを残しつつ小原流いけばなの技術をきちんと伝承していただけるように指導しています。その上で、技術だけでなくプラスαの思いを伝えていきたいと願っています。
 自宅教室は、20代、30代のシフト制のお仕事を持っている生徒さんが中心ですので、各人がなるべく出席しやすいようにお稽古日や時間を調整しています。お稽古後のティータイムでは、さまざまな話題に花が咲きます。お花で癒され、おしゃべりも楽しんで…、日々がんばっている生徒さんたちの明日の糧となるひとときを共に過ごすことで、僭越かもしれませんが何らかの社会貢献ができているとしたならば嬉しいです。
 生徒さんの一人が「一生いけばなを続けます」と言ってくださったこと、ワーキングホリデーで留学していた生徒さんが元気に、少し大人びて教室に戻ってきてくださったこと、知人の会社に挿花していた花を見て「習いたい」との声が上がり1月からその会社で教え始めていることなど、最近嬉しいことが続いています。
 私自身がいけばなを習い、お稽古を続けてきたからこそ、より多くの花との出合い、人との出会いがありました。今、すべての出逢いに感謝しています。これからも、「お花って楽しいね」という思いをお伝えしながら、1人でも多くの方に小原流いけばなの良さを知っていただくことでプラスαの伝承を続けていきたいと思います。


大阪府花道家協会展出品作品(4名合作)(2011年10月)
【横山 豊鈴 さんに一問一答】
  • 好きな花/クリスマスローズ(白)
  • 好きな小説家/辻 邦生
  • おすすめの本/ 『廻廊にて』
  • マイブーム/紅茶(オフの日はポットでリーフティを丁寧に入れてゆったりとした時間を楽しみます)

横山 豊鈴さんからご紹介いただいた次回の「いけばなじん」は、樋口ひろ子さん(姫路支部)です。お忙しい中でも週に8回もテニスをするほどのパワフルウーマン。明るいひまわりのような笑顔が素敵な方、とのことです。どうぞご期待ください。

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