みんなのいけばな



File No.23

松浦 友香 さん 松浦 友香 さん 大阪府/大阪支部


いけばなは「場」に飾るもの。生活の中に取り入れることで、
花の優しさが人を優しくし、生活にも潤いを与えてくれます。

人と人のつながりで紹介していくリレー形式の「いけばなじん」。

 今回は、前回の山口佳風さんから「いつも穏やかで丁寧な語り口。3人の子どもさんのお母さんとして素晴らしき日本の母を感じる、素敵な女性」とご紹介いただいた松浦友香さんです。お母様の影響でいけばなを始め、アメリカ・ノーザンオハイオ支部でもご活躍。帰国後も、子育てといけばなとの両立に奮闘する日々をうかがいしました。

お家元の作品制作を一緒にお手伝い。
お互いよく似た環境で、すぐに親しくなりました。

 2009年2月に大阪で新任講師の任命式に出席した時、緊張で手足がガタガタと震える私に柔らかな関西の言葉でいろいろと教えてくださったのが山口先生でした。華があり、細やかな気くばりのできる方というのが第一印象でした。 その年の6月、新潟の越後妻有で3日間ご一緒しました。お家元の作品制作のお手伝いだったのですが、宿泊でも同室になり、夜ゆっくりとプライベートなお話をする機会ができました。母親が小原流を教える家に育ち、自らも同じ年頃の子どもを持つ母であることなど、お互いよく似た環境であることを知り、お花や指導法のこと、子育ての悩みなど、出会って間もないのに共通の話題で楽しくお話しすることができたのを覚えています。
 あの時の第一印象は今も変わらず、明るくて何事にもまっすぐでお会いする度に前向きな気持ちにさせてくださる方です。
 現在は、年4回の研究院研修会でお会いする機会があります。昨年は4月に名古屋で開催された日本いけばな芸術中部展に来てくださったり、私も10月に山口先生が所属される、大阪支部創立100周年記念花展に伺ったりしました。今後もお目にかかる機会が増えそうなので、ますます楽しみです。
 山口先生の社中展はまだ拝見したことがないのですが、華やかで細部にわたり気くばりの行き届いた作品展だと思いますので、次回はぜひ伺いたいと楽しみにしています。

日本いけばな芸術中部展に初めて賛助会員として参加(5名の合作 2010年4月)


母のお腹の中で鋏の音を聞いていた原体験。
同級生とも切磋琢磨してお稽古に励みました。

 母が小原流の教室を自宅や会社で開いていたので、私は母のお腹にいる時から鋏の音を聞いて育ちました。母の生徒さんに私の1つ年上の方がいらっしゃって、彼女は幼稚園の頃から母の教室に通っていましたが、私はなかなかお稽古をさせてもらえませんでした。ですから、子どもの時はお弟子さんが切り刻んだお花をゴミ箱からこっそり持ち出し、我流でいけて遊ぶのが、私の密かな楽しみだったのです。
 きちんと母に入門したのは高校1年生の時。同級生と3人で始めました。切り刻んだ花ではなく、自由に扱える花をいけられるのがとても嬉しかったことを覚えています。その中の1人は研修課程も一緒に受け、ともに家元教授となりました。彼女は今でも母の教室に通い続けてくれる、私の大切な親友、花友達となっています。

花友達と2人の合作 初めての野外展(2007年9月 第15回近畿中部地区青年部作品展)


アメリカではリューダース先生に師事。
日本人以上に「和」を愛する人々に出会いました

 結婚と同時に主人の留学が決まり、1989年8月に3年間の予定で渡米しました。行先はオハイオ州クリーブランド。その秋、工藤和彦先生がクリーブランド美術館で鈴木曄先生、後藤昌弘先生とともにデモンストレーションをなさいました。私は美術館会員のためのパーティーに出席したのですが、そこで工藤先生より、以前「いけばなじん」にもご登場されたイングリッド・リューダース先生をご紹介いただいて、ご自宅へお稽古に通うようになりました。 雑誌にも紹介されるほど素敵なお庭のあるリューダース先生のお宅では、夏の間はお庭の見えるサンルームで、冬はダイニングルームで4〜5人のグループレッスンを受けました。日本の花屋さんでも近頃は洋花中心で和花や枝ものは特別に頼んで入手しますが、アメリカではもちろん手に入りませんから、先生のお庭で大切に育てられた木々や草花が貴重な花材でした。
 リューダース先生は毎年必ず日本で小原流のレッスンを受けられ、新しい花型などを丁寧に教えてくださいました。主人の留学を終えて帰国後も、2度ほどお教室でご一緒する機会がありました。今でも毎年来日され、いけばなに情熱を注がれているお姿を拝見するたび、素晴らしい師に恵まれたことに感謝しています。
 日本が欧米化し、住居もライフスタイルも「洋」を取り入れる傾向が強いのと対照的に、アメリカでいけばなを学んでいる人たちは、日本人以上に「和」を求めているように感じます。また、花も花器も数種類の中から自分で選んで取り合わせるお稽古方法は自主性を大切にするアメリカならでは。「今日はホームパーティーなので」と自宅から持ってきた花器にいけ、器ごと車のトランクに入れて持ち帰る方もいらっしゃるなど、目的意識を持って生活の中でいけばなを上手に生かしている方も多いように感じました。


クリーブランド美術館のJAPAN Festivalでお迎え花のお手伝い。リューダース先生と

いけばなを通じて自然や環境に優しくなれます。
近い将来、初めての社中展を開くのが目標です。


 リューダース先生には様々なことを学びましたが、先生のお手伝いでクリーブランド美術館のJAPAN Festivalのお迎え花やデモンストレーションの助手をさせていただいた時の出会いと体験は、今でも私の大切な財産となっています。
 渡米前に二級家元脇教授の資格を取得していたおかげでノーザンオハイオ支部のワークショップで基礎花型を教えることとなり、それが私の指導者としての第一歩になりました。その時、すべて直してしまうのではなく、作品の良いところを見つけ、ひと手間加えて作品を良くするという、指導するための基本を学び、今もそれを心がけるようにしています。

アメリカ・ノーザンオハイオ支部のワークショップにて初めての指導
 帰国後、子育てといけばなが両立できるか不安でしたが、3人のお子さんを育ててきちんと両立されているリューダース先生は「大丈夫だから」と何度も背中を押してくださいました。日本での再出発は、車を購入したディーラーの女性担当者が私の母校の後輩で、「お花を習いたい」と言われたことがきっかけとなり、ディーラーのショールームで4名の女性社員に教えることから始まりました。若い方の希望も聞きながら、クリスマスにはリース、正月にはしめ縄なども取り入れ、その後、母が教えていた会社や病院で教える機会も増えました。多くの人に支えられ、子育てしながら研修課程、準幹部、幹部、そして講師と続けることができ、まさに“継続は力なり”を実感しています。現在は、お花屋さんや名古屋駅前教室、実家の教室などで生徒さんが通いやすいように時間を区切らずお稽古をしています。

名古屋三越 早春いけばな展(2009年2月)
 いけばなは「場」に飾るもの。娘さんのお誕生日や法事など、生徒さんの希望や目的を聞き、お花屋さんにも足を運んで、その人に合ったお花を取り合わせるよう心がけています。生徒さんからは、生活の中にいけばなを取り入れることで、より潤いのある豊かな日々を送ることができると喜ばれています。好きな花が選べる、交通の便が良い、アットホームな雰囲気など、教室によってカラーも違いますが、その分、生徒さん同士も交流が深められるようです。  
 いけばなを教え始めて10年が過ぎました。これからの目標は、まだ開いたことのない社中展を実現すること。「場」に飾るいけばなの楽しさを、生徒さんはもちろん足を運んでくださった方にも伝えることができるよう、花の美しさが生きる素敵な会場を探して、新たな花の輪、人の輪を広げていきたいと思っています。
 「いけばな」を通じて人は花を見つめ、自分を見つめ、自然や環境へと目を向けていきます。花に優しくすることで人にも優しくなることができるのです。未来を担う子どもたちはもちろん、その子どもたちを見守り育てていく大人たちにも、長い歴史と伝統を持つ小原流いけばなを「知る」喜びを一人でも多くの方に伝えていきたいと強く願っています。

『挿花』2008年5月号 掲載作品

【松浦 友香 さんに一問一答】

好きな花/椿、桜
好きな音楽アーティスト/葉加瀬太郎さん
マイブームは/着付けを習い始めたので、着物の色合わせ、日本の美の粋を楽しんでいます 

松浦友香さんからご紹介いただいた次回の「いけばなじん」は、倉八 環さんです。「大阪の研修会館での研修課程で知り合いました。講師試験を受けている時もご一緒し、心強い存在でした。何事にもひたむきに努力を積み重ね、思慮深く、とても信頼できる誠実な日本女性で、お会いするのがいつも楽しみです」とのことです。ご期待ください。

 


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