みんなのいけばな



File No.22

山口 佳風 さん

 

山口 佳風 さん 大阪府/大阪支部



花を「キレイ」と感じることが心を豊かに優しくしてくれる。
日本文化の美しさをこれからも伝えていきます。

人と人のつながりで紹介していくリレー形式の「いけばなじん」。

今回は、前回の松井博士さんから「とてもバイタリティがあり、気配りできる方。社中展やこども教室にも力を入れられている素晴らしい方です」とご紹介いただいた山口佳風さんです。幼いころから慣れ親しんだ小原流いけばなを職業として選び、研鑽に励んでおられます。講師として教えることの喜びやいけばなへの思いなどを語っていただきました。

お稽古を通じて親しくなった松井先生。
男性がいける花ならではの力強さを感じました。

 松井先生とは、10年ほど前に教場で出会いました。年齢も近く、毎月のようにお会いし、席もよく隣同士になったので、どちらともなく話をするようになりました。松井先生のお花を初めて見た時、「男性のいけたお花ってすっきりしているなぁ」というのが第一印象でした。とともに、「男性はやっぱり力強い花をいける」と感じました。松井先生は観葉植物や枯れ物を多様に作品に使っておられます。男性らしい力強さ、シンプルさ、色のない華やかさが魅力で、松井先生の出展される花展はできるだけ足を運ぶようになりました。 いけばな教授者の先輩である母と一緒に行くことや時には子連れで伺うこともあります。

産経新聞「花とともに」に掲載された作品「優雅」(2010年11月)


お稽古を通じて行儀を学んだ日々。
講師として多くの人に小原流を伝えたい。

 私の母は、小原流のいけばな教室と煎茶習軒流のお教室を自宅で開いていました。ものごころがついたころには「華道」「茶道」という2つの道が身近にあったんですね。姉との二人姉妹だったこともあり、この2つの道を習うことに何の疑いもありませんでした。また、母はこれらの作法を通して娘たちに行儀を学ばせていたんだと思います。もちろん当時はそんなこととはつゆ知らず、まさに「親の心、子知らず」状態でしたけれど。その頃からずっと、花をいけているときはただ楽しいというか、単純に幸せです。

今もお稽古しているお茶のお点前(北浜美術倶楽部にて)
 その後、難波佳代子先生に学び、研修課程を1つずつ終える度に小原流の素晴らしさだけでなく、歴史の深さや伝えられてきた意味、歴代のお家元の偉大さを知ることとなりました。お稽古で先生のお手直しをいただいて、その素晴らしいひと手を目の当たりにし、いけばなが生きるさまを見たときはまさに圧巻でした。
 今、講師というお役目をいただいて、できるだけ多くの会員の方にこの素晴らしい小原流のいけばなを伝えていきたいと思います。


さまざまな教室で教え始めて12年。
お稽古は人と人とをつなぐ大切な空間です。

 12年前、自宅でできる仕事と思い、ご近所にチラシを配布して、いけばな教室を始めました。小さなお子さんのいるお母さん方も気軽に通えるように心がけました。その後、多くの生徒さんに支えられて今日があります。
 現在のお稽古場は自宅教室、駅前教室、こども教室。自宅教室の午前中は子連れの生徒さん優先で、午後はそれ以外の方と分けて行っています。もちろん子どもさんが好きな方は午前中においでになったりします。年配の方の赤ちゃんのあやし方には脱帽することも多々ありますね。



伝統文化いけばなこども教室の生徒たちと。写真は発表会の受付で(下)
 駅前教室は午後から夜まで、生徒さんは主婦の方から仕事をお持ちの方、学生さんまでさまざまです。お稽古では高校生と60代の奥様、主婦とOLなど、さまざまな職種や年齢の方がお互い知り合うことができます。教室は人とのつながりが生まれる大切な空間です。
 子どもを教えるのは月に1〜2回、公共の場所で行っています。伝統文化いけばなこども教室の企画に助けられ、今年で8年を迎えました。ここでも年齢は幼稚園年中さんから高校生と幅広く、いけばなだけではなく、大きな声を出すことや、幼い子たちは準備などでお姉ちゃんたちに助けてもらうと「ありがとう」と大きな声で言うよう指導しています。もちろん、こども教室の陰の力は親御さんです。今の時代、子どもたちが一人で通ってくることはありませんから、送り迎えの愛情にはいつも感謝の心でいっぱいです。今ではほとんどの子どもたちが資格をとり、多くの花の名前を覚え、節句を知り、季節を感じるなど、もう立派に花の道を歩んでくれています。子どもたちへの指導はこれからも続けていきたいと思います。


伝統文化いけばなこども教室の発表会にて
 いけばなを通じてひとはとても多くのことを学びます。大人も子どもも、人を思いやり、花を美しいと思う気持ちはいけばなの力を借りて養えるに違いありません。そして、日本の美しい四季と花、いけばなは切っても切れない関係にあります。教える立場としては、誰が見ても美しい花、すべての人が感じることができる四季をいつも感じて言葉として表現できる人間でありたいです。また、この仕事を通じて入学式や卒業式、結婚式など、人生のさまざまな節目を飾る役目としてお役に立てるようになりたいと思います。

いけばなの美しさは万国共通。
「キレイ」を感じる空間をもっと創っていきたいです。



大阪府花道家協会 若手作家による「咲いた、咲いた、さくら展」出品作品(そごう心斎橋店2009年3月)
 2010年、講師として大阪支部創立100周年記念花展に初めて参加させていただきました。大阪支部会員が一丸となった催しで、私も準備段階からさまざまなことをお手伝いさせていただき、大変勉強になりました。大成功のうちに幕を閉じることができ、その一員として参加できたことは、私の大切な財産となりました。
 いけばなは、私にとって気持ちが「動く」ものです。もし今日お花をいけなかったら、きっと「キレイ」と思うこともなく1日が終わってしまったはずだと思っています。「キレイ」と思わせてくれることは、あらゆる負の気持ちを一掃し、ちょっと豊かになります。そうすると、何事にも優しくなれるのです。そんな、人間のもとになる部分を潤わせてくれるもの、それがいけばなです。
 いけばなに限らず、「道」と呼ばれる日本文化は厳しいお稽古の中で成長し、開花してきました。だから多くの人が魅了されたのだと思います。厳しい社会情勢や環境に多くの文化が押しつぶされようとしていますが、100年以上続いた小原流にはゆるぎない力を感じます。すべてが多種多様化される今、日本人のゆかしき心は不動であると信じています。一人でも多くの人に1つでも多くの国でいけばなの持っている力が発揮され、心豊かな空間が創られることを望んでいます。万国共通、美しきもの、花の力で、小原流の力で。

【山口 佳風 さんに一問一答】

好きな花/ダリア(天竺牡丹)
好きな小説家/田口ランディ
オススメの本は/『できればムカつかずに生きたい』 
好きな映画は/『太陽がいっぱい』

山口佳風さんからご紹介いただいた次回の「いけばなじん」は、松浦友香さんです。「初めてお会いしたとき、とてもまろやかな声に驚いたのを覚えています。いつも穏やかで丁寧、3人のお子さんのお母さんでもあり、素晴らしき日本の母を感じます。お会いするのがいつも楽しみな素敵な女性」とのことです。ご期待ください。

 


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