みんなのいけばな



File No.17

篠田 幸子さん 愛知県/主婦


いけばなには”力”がある。無心に花と向き合って、花から勇気をいただきました。日本人に生まれた感謝の心で、子どもたちにもいけばなを伝えていきたいです。

人と人のつながりで紹介していくリレー形式の「いけばなじん」。

  今回は、前回の池田紀子さんから「いつもにこやかで、くもりのない笑顔が魅力。昨年のマイ・イケバナ2009ではキラキラとした透明感のある作品でAK賞も受賞された、素敵な先生です」と、ご紹介いただいた篠田幸子さん。
 次の世代を担う子供たちに絵本の読みきかせをするボランティア活動も精力的になさっています。 「いけばなを通じて出会えた人はいい方ばかり」と実感されている篠田さんに、池田さんとの出会いや、いけばなに情熱を注ぐ思いなどについて語っていただきました。

初対面でもすぐに仲良くなれる研修 池田先生は爽やかでいつも魅力的な方です。

 池田先生とは研修課程T期からご一緒させていただきました。研修では初対面の方が多いのですが、いけばなという共通項もあり、席の近い方たちとはすぐに仲良くなることができます。その中でも、池田先生は当時から明るい麻のマフラーを颯爽となびかせて、ファッションセンスは抜群でした。その爽やかなお姿だけでなく、年上の先生から私たちにまで細やかに気を配っておられるお人柄にも魅力があふれています。
 愛知と宮崎ですから頻繁にお会いすることもできないのですが、講習会やマイ・イケで再会できた時はとても嬉しく、 今でも時々はお電話でなつかしくお話しさせていただいています。

2008年5月 中日いけばな芸術展  方寸 盛花
●「マイ・イケバナ」
小原流四世家元小原夏樹により始められた造形・IKEBANAの流内公募展です。審査員として美術評論家の方々を招き、小原流会員であれば資格を問わず参加できることから創作活動の発表の場として評価も高く、2010年に30回目の開催となりました。


『マイ・イケバナ2009』への挑戦。AK賞の受賞には体がガクガク震えました。



『マイ・イケバナ2009』出品の基となった
2008年の名古屋『青年部作品展』に出品した屋外作品


 2007年、青年部作品展の参考になればと子どもと一緒にマイ・イケを見に行きました。さすがに生で見ると作品の質感や量感は迫力が違い、素材にこだわり、それを追及する出品者の思いをひしひしと感じました。また、その時の講評も大変勉強になりました。その後、先生からのすすめもあり、挑戦を決意、『マイ・イケバナ2009』に出品しました。
 もとは2008年に名古屋で開催された『青年部作品展』で出品した屋外作品を屋内用につくり変えたものです。下の息子とホームセンターにあるL字金具を両面テープで貼りつけ、1つのパーツにして積み上げていきました。屋外展示で雨が降った時、私の作品ができあがったと思いましたが、屋内では“自然”はありませんから、生命力のあるものを入れたくて水を張り、浮き草を浮かべてみたのです。

『マイ・イケバナ2009』でAK賞をいただいた作品
 マイ・イケはどの作品も周到に準備がなされていて、皆さんの根気は凄いものがあると感じました。ですから、AK賞をいただくとはまったく予想もしていませんでした。
 名古屋支部の青年部メンバーで奈良の青年部作品展会場の下見がてらマイ・イケを見にいこうということで、私も奈良に行っていたのですが、受賞の知らせを聞いた時は、体がガクガグ震えていたのを覚えています。自分が伝えたいものが伝わったのだ、伝えることができたんだと心の底から満たされるものを感じました。
 実は造形は苦手なんです。ですから、この時も、私は言葉で考えました。「集める、積み上げる、並べる、編む、引っかける、うごめく、朽ちる、染みる、切り裂く、はねる」…。また、こういう言葉の中から何かを探していきたいと思います。

いけ方ひとつで表情を変えた花との出合い。不安な時期もいけばなが勇気をくれました。

  小原流に入門したのは昭和60年でした。中学の同級生で幼稚園からいけばなを習っている友人に先生を紹介されました。とても楽しい先生で、「自由にいけてみなさい」と私にもお花を用意してくださいました。友人は冷たくて(笑)「きれいにいければいいわよ!」と言うだけです。それこそ手探りで2時間ぐらいかかっていけおわり、それを先生に直していただいた時、ガラッと花が表情豊かに変わったことに驚いたのです。それが始まりでした。
 娘の出産と親の介護と、病院をかけもちする生活があり、娘に障害があるのではないかと大変不安な時期も長く続きました。
 そんな中で、支部研究会の50分がとても気持ちいい楽しい時間だと気がついたのです。余計なことを考えず無心で花をいける時間が私の心をリセットしてくれました。わずか50分間が、現実の世界へ戻っていく勇気をくれたのです。花の生命力というのでしょうか。 これからも生きている花に正面から向き合う時間を楽しんでいきたいと思っています。

2010年6月中日いけばな芸術展の出品作品

 池田先生もおっしゃっていましたが、研修課程に参加すると、教授や助教授の先生方に直接、しかも丁寧に教えていただけます。そうすると、かすみがはれていくように何でもストンと入っていくのです。時間はすでにオーバーしているのに先生方は熱心に語りながら直してくださる。とても嬉しい時間です。平出先生からは「日頃から美術館に行ったりしなさい」、東海林先生には「研修に来ている皆さんから元気をもらっている」など、たくさんのお言葉をいただきました。それらは私の大切な宝になっています。
 いけばなは本当に奥が深くて、お話ししていても話題は器から絵画へと、興味の世界がどんどん広がっていきます。 最近では『愛知トリエンナーレ』の現代美術が印象に残っています。
 美術にはまだまだ無知な私には恥ずかしいことばかりですが、大琳派展を見に東京へ行ったりして楽しんでいます。 いけばなを教えていて嬉しいのは、生徒さんと同じ気持ちになれることですね。生徒さんが研究会で準優秀賞をもらったと報告してくれた時は、自分のこと以上にうれしいことです。

2010年 豊橋支部・花展

2010年8月「青年部作品展(小松 木場潟公園)」 家元作品の前で家元と名古屋支部の皆さんと一緒に 

絵本の読み聞かせボランティアでも仲間づくり。子どもたちも”いけばなの力”を感じてほしい。



子どもたちの前で人形劇を披露
 娘が1歳になったころから、子どもたちに絵本を読み聞かせする『パネルシアター』や人形劇を上演する活動に参加しています。子どもにどのような絵本を買ってあげればいいかわからないという悩みがきっかけでした。
 誘われるままボランティアグループに入ってみて、驚きました。意外に歴史があり、しかもなんと私の通っていた幼稚園の恩師が創られた会だったのです。先生はご結婚後、仕事をおやめになったのですが、絵本への情熱からグループを始められたのでした。
 私はただ、そんな素敵な先生やその周りに集まる方々とつながっていたくて続けてきました。
 子どもは正直ですね。おもしろくないと騒ぎ、楽しいと絵本の中にどんどん入ってきます。パネルシアターも人形劇も子どもを絵本の世界に誘う道具で、あとは子どもたち自身が自分の感情を重ね合わせたりしてくれます。むしろ「へえ〜、こう感じるんだ」と、絵本の新しい魅力を彼らに教えられることも少なくありません。
 

クリスマス会で「キャベツくん」のパネルシアターを
 この美しいいけばなの伝統に携わることができ、日本人に生まれたことに感謝しています。私に何ができるかはわかりませんが、“いけばなの力”を信じていますし、それを子どもたちにも伝えていきたいと思います。花や自然に触れると人の心も優しくなるのでしょうか。私がいけばなを通じて出会った人は皆さんいい方ばかりです。そんな出会いが子どもたちみんなにおとずれたらと心から願います。
 私自身、今は勉強の時。その時その時、心ひかれた花材を楽しみながら心のままに私らしくいけていきたいと思っています。
 


【篠田 幸子さんに一問一答】
好きな花/和花、日本の花(椿、水仙、燕子花、など)
好きな小説家、映画/映画も本も古いものが好きです。
おすすめの小説/アガサ・クリスティー、手塚治虫(ブラックジャック、火の鳥)近頃は子どもと一緒に読んでいます。
マイブーム/我が家で3番目になる猫の会尾(あお)ちゃん。「会いたかった尾っぽの長い猫」という意味です。

2010年5月中日いけばな芸術展に出品した盛花




篠田さんからご紹介いただいた次回の「いけばなじん」は、大阪支部のウェルズ・朋世さんです。花に向かう集中力は飛び抜けていて、パワフルな笑顔で周りを引っ張ってくれます。英語も堪能で、通訳でも活躍されるなど、人のためにも努力を惜しまない方」とのことです。ご期待ください。



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