みんなのいけばな



File No.8

木下 豊幸さん


私にとっていけばなは「生きがい」。そして、自分を自由に表現できるものです。

人と人のつながりで紹介していくリレー形式の「いけばなじん」。
今回は、前回の岩田由美子さんから、「いつも元気で、支部の仕事や伝統文化こども教室などに大活躍の方」と、ご紹介いただいた木下豊幸さん。
「伝統文化こども教室」ではいけばなを通じて、自然の大切さや季節の移り変わり、礼儀作法、人と人とのふれあいを大切することも指導されています。
今、一番の目標は「伝統文化こども教室」10周年記念花展を開催し、成功させること。岩田さんとの出会いから、日々のいけばな活動などの様子を伺いました。


歯切れよい会話とさっぱりした気性、大好きな友人で私のお花の先生です。

 岩田さんとは昭和56年から60年頃まで、函館支部の戸栗社中で一緒に学んでいました。会話は歯切れよく、気性はさっぱりしていて気が合い、大好きな友人であり、私のお花の先生でもあります。また、地区別教授者研究会は、私も岩田さんがお住まいの札幌で受けており、その時にお会いしてお話しできることを本当に楽しみにしています。

現在でも頻繁に、電話でのやりとりや情報交換を行っています。特に、お互いに幹部研修会での勉強の成果を語り合ったりして、技術の向上に努めています。



伝統文化こども教室5周年記念花展
いつも発表会をしている学校を飛び出し、函館市芸術ホールで開催した記念花展。現在習っている小学生と卒業した中高生も参加して、全員が1本ずつ挿花して完成させた「迎え花」。


伝統文化こども教室では、保護者の希望する礼儀、作法、挨拶も指導。







上写真
伝統文化こども教室展示会の準備風景。
下写真
伝統文化こども教室展示会開催中の会場風景。

 「伝統文化こども教室」には、最初の年から指導係として携わってきました。その年の参加者は、小学1年生から6年生まで女子が40人、男子が8人の合計48人でした。そのなかでも、最初からずっと続けている子どもは高校生に成長し、小原流会員となって頑張っています。また、中高生になり、部活や学業が忙しく参加できなくなった子どもたちは、私の自宅教室に習いにきています。

「伝統文化こども教室」という機会がなければ、子どもたちに教えることも、こんなにふれあうこともなかったと思います。孫がたくさん増えたようでとても可愛いです。いけばな用語を子どもにも分かる言葉に直したりすることは大変でしたが、指導するにあたりとても勉強になりました。

教室では、季節感を大切にした指導を心がけ、毎月の行事や季節の花などを紹介しながら進めています。年代の違う子どもたちに理解してもらうためには、学年ごとにいけるお花の難易度を分ける工夫もしています。また、子どもたちの保護者の方々に対しては、教室での指導に望むことをアンケートし、その回答の「礼儀」「作法」「挨拶」「カラーコーディネート」などにも気を配って指導しています。

子どもたちから小学校の先生まで、伝統文化こども教室は大好評です。

花の輪 人の輪 みんなの花展

 「伝統文化こども教室」は、子どもたちや保護者、小学校の先生から喜ばしい感想をいただいています。子どもたちは、「とても楽しい」「花言葉とか教えてもらってうれしい」。保護者からは、「季節の花や行事に合わせたいけばなを教えてもらって良かった」「日本の伝統文化を気軽に習うことができて良い体験ができた」「毎回工夫した花材やクリスマスのリース、お正月飾りなどとても楽しく参加している」。そして小学校の先生は、「自分の子どもも習わせたい」「とても良いことなので多くの人に習ってほしい」など、ほんとうにありがたいと思っています。

「伝統文化こども教室」の指導をとおして、子どもたちに学んでほしいと考えているのは、日本古来の伝統にふれることに、もっと興味を持ってほしいということです。そしていけばなを習うことで自然の大切さ、季節の移り変わり、礼儀作法、人と人とのふれあいを大切にすること。今日、自己中心的な考えが多く、横のつながりがなくなっていると思いますが、教室ではいけばなや後片付けをとおして上級生が下級生の面倒をみてくれます。子ども同士の調和、つながりを大事にしてほしいと願っています。

「伝統文化こども教室」は、今の私にとって生きがいであり、リフレッシュする場です。そして、将来へ向かって伸びていく子どもたちへ希望を抱かせるものでもあります。






2005年に小原流函館支部の要請を受け、「花の輪・人の輪−みんなの花展」へ出品。伝統文化こども教室の生徒全員が羽に見立てた雁足を貼り付けていき、親子のカモが寄り添い、夜を迎える風景を自由制作で表現。題名は子どもたちが考えた「希望」。

今年は定年ですが、展示会ではこれまでの集大成の作品を出品する予定。





伝統文化こども教室の発表会は学校の教室で展示。手前は1年生が桃の節句をお祝いしているように、お茶と和菓子に見立てて花を飾っている。
 小さい頃から母がお花をいけている様子を見て育ったので、いけばなには親しみがありました。昭和39年に入門しましたが、途中子育てのために10年間休み、あらためて始める際に技術的な衰えや未熟さを感じ、大阪の小原流研修会館へ伝承花を習いに行きました。そこでいけばなの奥深さを知れば知るほど難しくなり、大変苦労しましたが、苦労した分だけ喜びともなりました。

これまでいけばなを続けることで、全国の人と知り合い友人がたくさんでき、いろんなところへ行けたのは楽しい思い出です。

特に習いたての頃、親先生方と秋田県のとある山に行き、野山に咲く花や枝をつかって、大自然のなかでお花をいけたことは今でも忘れられません。最近では、子どもたちに指導しながら成長していく姿を見守ることができるのもうれしいかぎりです。今でも街で子どもたちに出会うと、よく覚えていてくれて「先生〜」と手を振ってくれたりします。

今年、いよいよ定年を迎えますが、伝承花や幹部研修会で身につけた技術を自分なりに総動員して、展示会には集大成となる作品を出品するつもりです。

伝統文化を伝えていくためには、子どもたちの活動の場を広げていくこと。

 今、一番の目標は「伝統文化こども教室」10周年記念花展を開催し、成功させることです。子どもたちには、いろいろな体験をさせてみたいと考えており、夢はふくらむばかりです。次世代を担う子どもたちに、たくさんの日本文化にふれてもらい、将来へ継承していってほしいと思います。

お花と向き合うと心を無にすることができ、生きものに対して優しさや感謝の気持ちを持つことができます。お花を愛でる気もちがあれば人にも優しくなれ、昨今のニュースで見る殺伐とした世の中も少しは変わっていくと信じています。それだけ日本の伝統文化は素晴らしいものです。ですから、微力ながらもこれからの子どもたちに日本の伝統文化を伝えていかなければと思っています。そのために私たちが活動の場を広げ、子どもたちに恥じないように胸を張って生きていくことだと思います。

いけばな…。それは私にとって「生きがい」であり、「自分を自由に表現できるもの」。自分の好きなことが長く続けられるのは本当に幸せなことです。そして好きなことを多くの人に伝え、幸せのおすそわけができることはそうありません。


発表会の時に参加者全員で押し花を使って校章をかたどり、玄関に飾った。

【木下豊幸さんに一問一答】
好きな花/水仙
好きなTV番組/ジャンルにこだわらずドキュメンタリー番組
マイブーム/五稜郭公園(1周1.8キロ)を3周する約1時間のコース


木下さんからご紹介いただいた次回の「いけばなじん」は、青森・津嶋きぬ子さんです。「何事にも前向きに臨む姿勢に感心させられる方」とのことです。ご期待ください。



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