みんなのいけばな



File No.7

岩田 由美子さん


いけばなは、無心で花をいけ、穏やかな心に見えてくる「何か」に出会えるためのもの。

人と人のつながりで紹介していくリレー形式の「いけばなじん」。
今回は、前回の大槻芳順さんから、「知識や情報が豊富で、頼りがいのある方」と、ご紹介いただいた岩田由美子さん。
「社団法人いけばなインターナショナル」で世界に向けたいけばなの友好に携わりながら、支部のお仕事、花展への出品、生徒指導を続けられています。
大槻さんとの出会いから、日々のいけばな活動などの様子を伺いました。

穏やかな人柄でジョークが通じ、いけばなのセンスの素晴らしい方。

 大槻さんとの出会いは、平成6〜7年頃に私が研修生として大阪の小原流研修会館に通っていたときです。授業時間の合間に控室で同席したのがきっかけで、どちらからともなく授業やいけばなの話、北海道のことなどを話題に話した記憶があります。それ以来毎年、研修会館でお会いするたびにいろいろなお話ができとても参考になり、大槻さんに会えることが楽しみでした。

最初はどこか話しづらい印象で、聡明な方と感じましたが、お話ししていく過程でとても穏やかな人柄でジョークが通じ、またいけばなのセンスの素晴らしい方だということがわかりました。最近は、2〜3年に1度しかお会いできませんが、一緒に伝承花講座などに参加したときにはお食事やショッピングに行き、時間を忘れるほどお話しすることもあります。お互いに忙しい日々で、一緒に花展や社中展を見に行く機会はありませんが、忘れた頃に電話や手紙で近況報告をしています。


大槻さんと同行した小樽での花展会場にて。


「花を通じての友好」を活動理念に、記録係として会報誌発行などに従事。


「いけばなインターナショナル花展」に訪れた領事館関係者へのいけばなの説明。


「いけばなインターナショナル札幌支部チャリティ花展」出瓶作品。北海道サミット開催協賛で、参加各国の国花を用いたイメージ花。


池坊の方との合作による「いけばなインターナショナルチャリティ花展」出瓶作品。


「いけばなインターナショナル」札幌支部の会報誌。

 主人の転勤で札幌に移り、毎年デパートやホテルなどで行われる花展を見に行ったときに、「社団法人いけばなインターナショナル」※1の存在を知りました。その頃に師事していた先生から「いろいろな流派のお花を拝見するのもお勉強になりますよ」と勧められ、小原流の諸先生方の推薦を受けて平成9年頃に入会しました。

社団法人いけばなインターナショナルは、「花を通じての友好」を活動理念とし、世界中で日本文化「いけばな」を愛好する人々によって構成され、4年に一度東京で世界大会が開催されます。2006年大会には高円宮妃殿下名誉総裁をお迎えし、小原流からは小原稚子家元代行はじめ、多くの先生方の参加もあり、素晴らしいデモンストレーションが披露されて盛会のうちに終えることができました。

私はこの組織で支部運営役員の記録係を務めています。毎月の例会の記録、写真撮影、配布物の管理が主な仕事ですが、支部で最大のクリスマスパーティーやチャリティ花展、屋外レクリエーションなどの行事の運営も携わっています。年度末には年間の支部活動を会報誌として編集・発行し、会員に配布して1年が終わりとなります。

この組織では他流の方々の友達が増え、いろいろな話題に時間を忘れることもしばしば。また、自分のいけたい花を自由に表現できる場としても魅力的です。



※1 米国人の故ミセス エレン・ゴードン・アレンの提唱により、1956年に東京に設立された国際文化団体。現在、世界60カ国の各都市に165支部、8500人の会員を擁している。札幌支部は1963年に69番目の支部として発足、14派110人の会員が所属し、ボランティア活動によるいけばなのデモンストレーションなどを行っている。入会には会員2名の推薦が必要。


大好きだった茶道をやめるほど、今は花をいける楽しみを味わっている。


 私がいけばなを始めたいと思ったのは、若い頃から習っていた裏千家茶道のお手前に花所望があったことです。床の間に一輪の白玉椿をいけたいという思いがきっかけでした。最初は、入門とか免状のことなど考えずに自宅近くの小原流の教室で習っていましたが、札幌に移り住むようになってから本格的に勉強を始めました。

その後は、ある時期まで研究会などに出席して楽しんでいけていましたが、自分の花に対しての未熟さに気付き、高度な技法を学びたいという思いで研修課程に参加するようになりました。

いろいろな科目を勉強するなかで、北海道と大阪や東京はあまりにも技術的な差があることに驚き、自分自身の勉強不足に苦しみました。それでも花をいけているときは家庭のことや俗世間のことなど忘れて無になれ、花をいける楽しみも味わいました。おかげで、大好きだった茶道もいつの間にかやめてしまったほどです。


上3枚の写真
小原流札幌支部「みんなの花展」出瓶作品。
下写真
「北海道いけばな百人展」出瓶作品。




これまでに培った自分の花世界を、個展として表現することが夢。









上写真
ニドムの森で散策。
中写真2点
札幌市生涯学習センターのロビーの作品。
下写真
ボランティア活動として取り組んでいる町内会でのアレンジ講習会の様子。

 現在は札幌支部の地区委員を仰せつかり、お手伝いさせていただいています。主な仕事は、登録されている51名の専門教授者の方々と支部との連絡事項の伝達や親睦です。連絡がスムーズに図れるように、若いお勤めの方、体調のすぐれない方、ご年配の方や新しく専門教授者になられた方などの都合を考慮して連絡網を作っていますが、ときとして連絡が途切れて苦情が寄せられることもあり、毎日が勉強です。

支部の花展では、チケットを買って見に来てくださるお客様が「また見に来よう」と思っていただけるよう、心に優しさを感じてもらえる花をいけるように心がけています。支部からある程度指定された花型に沿い、春には初々しい若芽の息吹が感じられる花材、秋には里山の実物を用いたりして季節感を大切に工夫しています。

また、私の生徒たちへの指導では、基礎的な事柄をしっかりと教え、住むところが変わって新たな先生に教わる場合でも苦労しないようにと配慮しています。

今後は、ボランティア活動としての町内会や地域の学習センターロビーなどへの飾り花、節句花などの講習会を続けていきながら、これまでに培われた自分の花世界を表現できる個展ができたらいいなと夢見ています。いけばなは私にとって、人生の折り返し地点からの栄養剤の役目を果たしています。無心で花をいけ、穏やかな心に見えてくる「何か」に出会えるときのためにあると感じています。

【岩田由美子さんに一問一答】
好きな花/桜(特にしだれ桜)
好きな作家/森村誠一、瀬戸内寂聴
好きなミュージシャン/松山千春、井上陽水
お薦めの本/「秘花」瀬戸内寂聴
マイブーム/主人と一緒にテーマを決めずに映画鑑賞


岩田さんからご紹介いただいた次回の「いけばなじん」は、北海道・木下幸子さんです。「いつも元気で、支部の仕事や伝統文化こども教室などに大活躍の方」とのことです。ご期待ください。



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