みんなのいけばな



File No.3

矢島 明子さん


私にとってのいけばなは、新しい世界のドアを開ける鍵のようなものです。

人と人のつながりで紹介していくリレー形式の「いけばなじん」。
今回は、前回の松浦良泉さんから「カルチャー教室に勤務をしながらいけばな指導の助手されている笑顔の素敵な女性」と、ご紹介いただいた矢島明子さん。
「人に教えることは楽しい」と、いけばな指導にあたりながら、
常に新しい発見を続けられています。
松浦さんとの出会いのエピソードから、ご自身のいけばなとの関わりなどを伺いました。

いつも用意周到の松浦さんは、ドラえもんのポケットを持っています。

 「お手伝いできることがあったら言ってください」と、声をかけていただいたのが、松浦さんとお話するようになったきっかけでしょうか。2007年6月の研修課程III期の第1日目のことです。制作実習の際、のこぎりがうまく使えずに戸惑っていた私を見て、後ろの席におられた松浦さんが優しく言ってくれました。

以前からお互いに存じ上げていましたが、ご挨拶をする程度で、親しくお話する機会はありませんでした。制作実習のときは、皆自分のことで精一杯の中、松浦さん自身も制作中にもかかわらず声をかけていただき、とても周囲に気配りのできる方なんだなぁというのがそのときの印象で、それは今も変わりません。

それからは、メールや電話で近況報告をするようになりました。知識が豊富でいつもアドバイスをいただいたり、展覧会や講習会などでお会いしたときに私が忘れ物などして、「こういう道具があればなぁ」と思案していると、必ず松浦さんは用意していて貸してくださいます。ドラえもんのポケットみたいだなぁと思う反面、「松浦さんのように計画的に準備しなければ」と、気づかせていただいています。

カルチャー教室で企画した講座が、多くの方々に好評です。



 カルチャー教室(読売・日本テレビ文化センター八王子)での仕事の内容は、担当講座の準備物の確認や受付カウンターでの受講者の出迎え、そして日中は電話応対や申し込み手続きなどです。また、受講を希望される方への講座の説明、新しい講座の企画から準備なども私の大切な仕事です。

これまでに私が企画・準備した講座で最も印象に残っているのは「楽しい読み語りを!」という講座です。これは以前から構想を練っていたもので、子ども、孫、周りの方に童話や文学作品を読んで聞かせる「語り」を学べる講座を設けたいというのが発想の原点です。

そんなある日、ネイルサロンで隣に座っておられた方の声と話し方がとても素敵だったので、お話をさせていただくとテレビ番組のナレーターやアニメの声優をお仕事にされている方でした。読み語りにも力を入れて活動されているとのことで、
「ぜひ講座を!」とお願いすると、快く引き受けていただくことになりました。

この講座は好評で、受講者から「ずっと続けます」という声をいただいたり、他の読売文化センターからもこの講座を開きたいという依頼もあるほど人気の講座になり、うれしい限りです。

カルチャー教室での喜びは、受講者がいきいきしている姿です。

 また、あるときのことですが、ずっと家にこもりがちなお母様を心配した娘さんが「母に趣味を持ってほしい」とセンターに来られたことがあります。いくつかの講座をお薦めしましたが、おとなしいお母様は無反応でした。結局、娘さんが決めた講座に仕方なく入会されたという感じで、私も「うまくやっていけるかな?」と心配しました。

それから数カ月後、外見に見違えるような変化が見えました。お化粧もされ、洋服も気を使われるようになり、顔の表情も明るくなりました。そしてそのお母様から、「今日はこんなの作ったのよ」と、うれしそうに話しかけていただいたときは、驚きと同時に心からうれしく思いました。

人が楽しみを持って、いきいきしている姿を見ると本当にうれしくなります。



カルチャー教室(読売・日本テレビ文化センター八王子)では、引継ぎ事項確認、講師への連絡事項の伝達と大忙し。その合間をぬって、雑誌やテレビ番組をチェックして新しい講座の発案、講師の手配などもします。


私が知っていることを、いけばなを通じていろんな人に伝えたい。





上写真
優しく、そして丁寧に。教える楽しさをしみじみと味わいながら、お稽古のときのまなざしは真剣そのもの。
下写真
いつも笑顔の矢島さんは「伝統文化こども教室」でも子どもたちの人気者。
 現在、週3日の勤務の他に、勤務先のカルチャー教室にある親先生の講座と小原流ビギナーズスクールで助手を務めています。そして伝統文化こども教室での指導にもあたっています。

東京の大学に通っていた親せきの子どもを教えることから始まりましたが、教え始めると「人に教えることは楽しい」とつくづく感じています。日々たくさんの人に出会ってたくさんの栄養をもらっています。そして私からも、私が知っていることをいろんな人に伝え、いけばなを通じて栄養をあげたいと思います。そのためにもっと様々なことを体験し、学び、いけばなだけでなく、人間としても幅を広げていきたいと思います。

いけばなを始めた頃は「家に花があるっていいな」というくらいの気持ちで、これほど長く続くとは思ってもいませんでした。

知らない地にきても、いけばなでつながっている人がいる。

 23歳の頃、いつもセンスの良い友人が「楽しいよ」と薦めてくれたのが、私のいけばなの習い始めです。いけばなを習えば、私も友人のようにセンス良くなれるかもしれないというのが動機でした。

当時は四国の高松に住んでいたのですが、結婚して八王子に住むことになり、東京に行ってもいけばなが続けられるようにと高松の先生が八王子の先生を紹介してくださいました。しかし、八王子に来てからはこちらの生活に慣れるのが精一杯で、何カ月間も八王子の先生への連絡がとれませんでした。

ところがあるとき、八王子の先生の方から連絡をいただき、お稽古を再開することになりました。電話がなければそのままやめていたかもしれません。周りに知り合いがなくて淋しい日々を過ごしていた私にとって、あの電話は神様の贈り物のようなものでした。そしてそのとき、「いけばなを通じてつながっている人がいるんだ」と、とてもうれしかったことを覚えています。

いけばなを通じた人との出会い、研修課程で体験したいけばなの奥深さなど、やればやるほど新しい発見の連続でした。いけばなを続けていく限り、新しい世界がどんどん広がっていくような気がします。
私にとってのいけばな。それは、次の世界のドアを開ける鍵のようなものです。







【矢島明子さんに一問一答】
好きな花/サンダーソニア
好きなミュージシャン/福山雅治
お薦めのアルバム/「残響」(2009年6月リリース)
マイブーム/ベトナム


矢島さんからご紹介いただいた次回の「いけばなじん」は、東京都・永嶋浩子さんです。「いつもおだやかで優しい方」とのことです。ご期待ください。



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